交通事故により会社代表者を負傷させた者に対する会社の損害賠償請求

(昭和43年11月15日最高裁)

事件番号  昭和40(オ)679

 

この裁判では、

交通事故により会社代表者を負傷させた者に対する

会社の損害賠償請求について

裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

原判決の確定するところによれば、Dは、

もと個人でE薬局という商号のもとに薬種業を営んでいたのを、

いったん合資会社組織に改めた後これを解散し、

その後ふたたび個人でBという商号のもとに営業を続けたが、

納税上個人企業による経営は不利であるということから、

昭和三三年一〇月一日有限会社形態の被上告会社を設立し、

以後これを経営したものであるが、

社員はDとその妻Fの両名だけで、

Dが唯一の取締役であると同時に、

法律上当然に被上告会社を代表する取締役であって、

Fは名目上の社員であるにとどまり、取締役ではなく、

被上告会社にはD以外に薬剤師はおらず、被上告会社は、

いわば形式上有限会社という法形態をとったにとどまる、

実質上D個人の営業であつて、Dを離れて

被上告会社の存続は考えることができず、

被上告会社にとつて、同人は余人をもって

代えることのできない不可欠の存在である、というのである。

すなわち、これを約言すれば、

被上告会社は法人とは名ばかりの、

俗にいう個人会社であり、

その実権は従前同様D個人に集中して、

同人には被上告会社の機関としての代替性がなく、

経済的に同人と被上告会社とは一体をなす

関係にあるものと認められるのであって、

かかる原審認定の事実関係のもとにおいては、原審が、

上告人のDに対する加害行為と同人の受傷による

被上告会社の利益の逸失との間に相当因果関係の存することを認め、

形式上間接の被害者たる被上告会社の本訴請求を

認容しうべきものとした判断は、正当である。

 

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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