損害賠償債権と混同

(平成元年4月20日最高裁)

事件番号  昭和60(オ)217

 

この裁判では、

自動車損害賠償保障法3条に基づく

損害賠償債権及び債務が混同したときと

同法16条1項に基づく被害者の保険会社に対する

損害賠償額支払請求権の帰すうについて

裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

自動者損害賠償保障法(以下「自賠法」という。)3条による

被害者の保有者に対する損害賠償債権及び保有者の被害者に対する

損害賠償債務が同一人に帰したときには、

自賠法16条1項に基づく被害者の保険会社に対する

損害賠償額の支払請求権は消滅するものと解するのが相当である。

 

けだし、自賠法3条の損害賠償債権についても

民法520条本文が適用されるから、

右債権及び債務が同一人に帰したときには、

混同により右債権は消滅することとなるが、

一方、自動車損害賠償責任保険は、

保有者が被害者に対して損害賠償責任を負担することによって

被る損害を填補することを目的とする責任保険であるところ、

被害者及び保有者双方の利便のための補助的手段として、

自賠法16条1項に基づき、被害者は保険会社に対して

直接損害賠償額の支払を請求し得るものとしているのであって、

その趣旨にかんがみると、この直接請求権の成立には、

自賠法3条による被害者の保有者に対する損害賠償債権が

成立していることが要件となっており、また、

右損害賠償債権が消滅すれば、

右直接請求権も消滅するものと解するのが相当であるからである。

 

自賠法15条にいう「自己が支払をした」とは、

自動車損害賠償責任保険の被保険者が

自己の出捐によって損害賠償債務を全部又は

一部消滅させたことを意味し、混同によって

損害賠償債務が消滅した場合は、

これに該当しないものと解するのが相当である。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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