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【交通事故判例】自動車損害賠償保障法3条但書による免責 (昭和46年11月19日最高裁)

自動車損害賠償保障法3条但書による免責

(昭和46年11月19日最高裁)

事件番号  昭和44(オ)1218

 

この裁判では、

自動車損害賠償保障法3条但書による免責について

裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

本件道路は、自動車専用道路であるから、自動車は、

一般に、横断し、転回し、

または後退することを禁じられている

(道路交通法75条の6)。

 

緊急自動車については若干の除外規定が

設けられてはいるが(同法75条の9)、

転回行為を許す明文の規定は、法令上存しない。

 

緊急自動車については、その目的の緊急性に応じて、

右除外規定を弾力的に解釈する余地もないではないが、

自動車専用道路における車両の転回行為を禁止する

前記法条の趣旨に照らせば、たとえ緊急自動車であっても、

かかる例外的行為に出るときは、特段の注意を払い、

通常の事態を予想して通行している一般車両の走行に危険を与え、

事故を誘発することを未然に防止すべき注意義務が

あるものといわなければならない

 

ところで、緊急自動車とは、法令の定める自動車で、

当該緊急用務のため、政令で定めるところにより

運転中のものを指し(同法39条1項)、

警察用自動車については、犯罪の捜査、交通の取締り

その他の警察の責務の遂行のため使用するものであって

(道路交通法施行令13条1号)、緊急用務のため運転するときは、

特段の必要がある場合を除き、法令の定めに従って

設けられたサイレンを鳴らし、かつ、

赤色の警光灯を点灯することを要するものとされている

(同施行令14条)。

 

法令が、このような規定をおいているのは、

緊急自動車がその特別の用務のために他の車両に優先して

道路を進行することを保障する一方、

その進行を一般の車両等に警告することによって、

それから生ずることのあるべき危険を未然に

防止しようとするにあるものと解される。

 

本件において、事故現場での実況見分を終了して

帰署しようとしていた乙車にいかなる緊急の用務があったかは、

原審の確定しないところであるが、かりに乙車に

そのような緊急の目的があつたとしても、いやしくも、

一般車両の転回行為が禁止されている自動車専用道路において、

かかる転回行為をしようとする場合には、

反対車線を走行してくる車両に対して、これを予知させ、

もって、右車両が突嗟の措置に窮し思わぬ

事故を招来せしめないよう、

少なくとも、法令に定められたサイレンを鳴らし、かつ、

対向車両の進行を急激に妨げないような時機と

方法を選んで転回行為に及ぶべきであり、また、

本件のように、事故現場の実況見分を終了して

帰署する場合においては、

交通量に応じ、車両の転回行為の終了するまで交通規制をし、

あるいは居合わせた警察官をして乙車を誘導させる等、

乙車の異例な行動から生じうべき事故を未然に防止すべき

何らかの措置を講ずるのが当然である。

 

まして、本件事故の発生したのは夜間であって、

乙車の前照灯の動きは反対車線を走行してくる

車両の視界を妨げるおそれがあり、加うるに、

反対車線の前方側縁には丁車を停車させていたのであるから、

乙車の運行には、さらに一そうの

慎重さが要求されて然るべきである。

 

しかるに、原審の確定するところによれば、当時、

乙車あるいは丙車がサイレンを鳴らしていた様子はなく、

すでに現場は交通規制も解除されており、

居合わせた警察官らは、すべて車両に分乗し終っていたのであり、

乙車は、反対車線を甲車が高速で進行して来たにもかかわらず、

その直前で転回行為に及んだというのであるから、

たとえDの運転に重大な過失があったとしても、

乙車の右運行は、なおかつ危険な行為というほかはなく、

その運行には、前記説示の趣旨において

過失あるを免れないものというべきである。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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