企業買収の基本合意書の協議禁止条項の効力

(平成16年8月30日最高裁)

事件番号  平成16(許)19

 

この裁判では、

企業買収の基本合意書の協議禁止条項の効力について

裁判所が見解を示しました。

最高裁判所の見解

本件基本合意書には,抗告人及び相手方らが,

本件協働事業化に関する最終的な合意をすべき

義務を負う旨を定めた規定はなく,

最終的な合意が成立するか否かは,

今後の交渉次第であって,

本件基本合意書は,その成立を保証するものではなく,

抗告人は,その成立についての

期待を有するにすぎないものであることが明らかである。

 

そうであるとすると,相手方らが本件条項に違反することにより

抗告人が被る損害については,最終的な合意の成立により

抗告人が得られるはずの利益相当の損害とみるのは相当ではなく,

抗告人が第三者の介入を排除して有利な立場で相手方らと

交渉を進めることにより,抗告人と相手方らとの間で

本件協働事業化に関する最終的な合意が成立するとの期待が

侵害されることによる損害とみるべきである。

 

抗告人が被る損害の性質,内容が上記のようなものであり,

事後の損害賠償によっては

償えないほどのものとまではいえないこと,

前記のとおり,抗告人と相手方らとの間で,

本件基本合意に基づく本件協働事業化に関する

最終的な合意が成立する可能性は相当低いこと,しかるに,

本件仮処分命令の申立ては,

平成18年3月末日までの長期間にわたり,

相手方らが抗告人以外の第三者との間で前記情報提供又は

協議を行うことの差止めを求めるものであり,

これが認められた場合に相手方らの被る損害は,

相手方らの現在置かれている状況からみて,

相当大きなものと解されること等を総合的に考慮すると,

本件仮処分命令により,暫定的に,相手方らが

抗告人以外の第三者との間で前記情報提供又は

協議を行うことを差し止めなければ,抗告人に

著しい損害や急迫の危険が生ずるものとはいえず,

本件仮処分命令の申立ては,

上記要件を欠くものというべきである。

 

全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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