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【会社法判例】個別株主通知と少数株主権の行使 (平成22年12月7日最高裁)

個別株主通知と少数株主権の行使

(平成22年12月7日最高裁)

事件番号  平成22(許)9

 

この裁判では、

個別株主通知と少数株主権の行使について

裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

会社法172条1項所定の価格決定申立権は,

その申立期間内である限り,各株主ごとの

個別的な権利行使が予定されているものであって,

専ら一定の日(基準日)に株主名簿に

記載又は記録されている株主を

その権利を行使することができる者と定め,

これらの者による一斉の権利行使を予定する

同法124条1項に規定する権利とは

著しく異なるものであるから,

上記価格決定申立権が

社債等振替法154条1項,147条4項所定の

「少数株主権等」に該当することは明らかである。

 

社債等振替法154条が,振替株式についての

少数株主権等の行使については,

株主名簿の記載又は記録を株式の譲渡の対抗要件と定める

会社法130条1項の規定を適用せず,

個別株主通知がされることを要するとした趣旨は,

株主名簿の名義書換は総株主通知を受けた場合に行われるものの,

総株主通知は原則として年2回しか行われないため

(社債等振替法151条,152条),

総株主通知がされる間に振替株式を取得した者が,

株主名簿の記載又は記録にかかわらず,

個別株主通知により少数株主権等を

行使することを可能にすることにある。

 

そして,総株主通知と異なり,個別株主通知において,

振替口座簿に増加又は減少の記載又は記録がされた日等が

通知事項とされているのは

(社債等振替法154条3項1号,129条3項6号),

少数株主権等の行使を受けた会社が,

振替株式の譲渡の効力発生要件(同法140条)

とされている振替口座簿の上記記載又は記録によって,

当該株主が少数株主権等行使の要件を

充たすものであるか否かを

判断することができるようにするためであるから,

上記会社にとって,総株主通知とは別に

個別株主通知を受ける必要があることは明らかである。

 

同じ会社の振替株式であっても,株価の騰落等に伴って

その売買が短期間のうちに頻繁に繰り返されることは

決してまれではないことにかんがみると,

複数の総株主通知においてある者が

各基準日の株主であると記載されていたということから,

その者が上記各基準日の間も当該振替株式を継続的に

保有していたことまで当然に推認されるものではないから,

ある総株主通知と次の総株主通知との間に

少数株主権等が行使されたからといって,

これらの総株主通知をもって

個別株主通知に代替させることは,

社債等振替法のおよそ予定しないところというべきである。

 

まして,これらの総株主通知をもって

個別株主通知に代替させ得ることを理由として,

上記価格決定申立権が会社法124条1項に規定する権利又は

同項に規定する権利に関する規定を

類推適用すべき権利であると解する余地はない。

 

また,社債等振替法154条2項が,

個別株主通知がされた後の少数株主権等を

行使することのできる期間の定めを政令に委ねることとしたのは,

個別株主通知がされた後に当該株主が

その振替株式を他に譲渡する可能性があるために,

振替株式についての少数株主権等の行使を個別株主通知から

一定の期間に限定する必要がある一方,当該株主が

少数株主権等を実際に行使するには相応の時間を要し,

その権利行使を困難なものとしないためには,

個別株主通知から少数株主権等を行使するまでに

一定の期間を確保する必要もあることから,

これらの必要性を調和させるために

相当な期間を設定しようとすることにあるのであって,

少数株主権等それ自体の権利行使期間が,

社債,株式等の振替に関する

法律施行令40条の定める期間より短いからといって,

個別株主通知を不要と解することはできない。

 

そして,個別株主通知は,社債等振替法上,

少数株主権等の行使の場面において

株主名簿に代わるものとして位置付けられており(社債等振替法154条1項),

少数株主権等を行使する際に自己が株主であることを

会社に対抗するための要件であると解される。

 

そうすると,会社が裁判所における

株式価格決定申立て事件の審理において

申立人が株主であることを争った場合,

その審理終結までの間に個別株主通知がされることを要し,かつ,

これをもって足りるというべきであるから,

振替株式を有する株主による上記価格決定申立権の行使に

個別株主通知がされることを要すると解しても,

上記株主に著しい負担を課すことにはならない

 

全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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