取締役に対し提起された株主代表訴訟において株式会社が取締役を補助するため訴訟に参加することの許否

(平成13年1月30日最高裁)

事件番号  平成12(許)17

 

この裁判では、

取締役に対し提起された株主代表訴訟において

株式会社が取締役を補助するため訴訟に参加することの許否について

裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

民訴法42条所定の補助参加が認められるのは,

専ら訴訟の結果につき法律上の利害関係を有する場合に限られ,

単に事実上の利害関係を有するにとどまる場合は

補助参加は許されない。

 

そして,法律上の利害関係を有する場合とは,

当該訴訟の判決が参加人の私法上又は公法上の法的地位又は

法的利益に影響を及ぼすおそれがある場合をいうものと解される。

 

取締役会の意思決定が違法であるとして取締役に対し

提起された株主代表訴訟において,株式会社は,

特段の事情がない限り,取締役を補助するため訴訟に

参加することが許されると解するのが相当である。

 

けだし,取締役の個人的な権限逸脱行為ではなく,

取締役会の意思決定の違法を原因とする,

株式会社の取締役に対する損害賠償請求が認められれば,

その取締役会の意思決定を前提として形成された

株式会社の私法上又は公法上の法的地位又は

法的利益に影響を及ぼすおそれがあるというべきであり,

株式会社は,取締役の敗訴を防ぐことに法律上の

利害関係を有するということができるからである。

 

そして,株式会社が株主代表訴訟につき

中立的立場を採るか補助参加をするかは

それ自体が取締役の責任にかかわる

経営判断の一つであることからすると,

補助参加を認めたからといって,

株主の利益を害するような補助参加がされ,

公正妥当な訴訟運営が損なわれるとまではいえず,

それによる著しい訴訟の遅延や複雑化を招くおそれはなく,また,

会社側からの訴訟資料,証拠資料の提出が期待され,

その結果として審理の充実が図られる利点も認められる。

 

 

全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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