訴因変更の要否

(平成13年4月11日最高裁)

事件番号  平成11(あ)423

 

この裁判では、

殺人罪の共同正犯の訴因において実行行為者が明示された場合に

訴因変更手続を経ることなく訴因と異なる実行行為者を

認定することの適否について裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

実行行為者につき第1審判決が訴因変更手続を経ずに

訴因と異なる認定をしたことに

違法はないかについて検討する。

 

訴因と認定事実とを対比すると,前記のとおり,

犯行の態様と結果に実質的な差異がない上,

共謀をした共犯者の範囲にも変わりはなく,

そのうちのだれが実行行為者であるかという点が

異なるのみである。

 

そもそも,殺人罪の共同正犯の訴因としては,

その実行行為者がだれであるかが明示されていないからといって,

それだけで直ちに訴因の記載として罪となるべき事実の特定に

欠けるものとはいえないと考えられるから,

訴因において実行行為者が明示された場合に

それと異なる認定をするとしても,

審判対象の画定という見地からは,

訴因変更が必要となるとはいえないものと解される。

 

とはいえ,実行行為者がだれであるかは,

一般的に,被告人の防御にとって重要な事項であるから,

当該訴因の成否について争いがある場合等においては,

争点の明確化などのため,検察官において

実行行為者を明示するのが望ましいということができ,

検察官が訴因においてその実行行為者の明示をした以上,

判決においてそれと実質的に異なる認定をするには,

原則として,訴因変更手続を要するものと解するのが相当である。

 

しかしながら,実行行為者の明示は,

前記のとおり訴因の記載として

不可欠な事項ではないから,少なくとも,

被告人の防御の具体的な状況等の審理の経過に照らし,

被告人に不意打ちを与えるものではないと認められ,かつ,

判決で認定される事実が訴因に記載された事実と比べて

被告人にとってより不利益であるとはいえない場合には,

例外的に,訴因変更手続を経ることなく訴因と異なる

実行行為者を認定することも違法ではないものと解すべきである。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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