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【刑法判例】被告人を死刑に処した裁判員裁判による第1審判決を量刑不当として破棄した事例 (平成27年2月3日最高裁)

被告人を死刑に処した裁判員裁判による第1審判決を量刑不当として破棄した事例

(平成27年2月3日最高裁)

事件番号  平成25(あ)1127

 

この裁判は、

被告人を死刑に処した裁判員裁判による

第1審判決を量刑不当として

破棄し無期懲役に処した原判決の量刑が維持された事例です。

 

最高裁判所の見解

本件は,被害者方への侵入時に殺意が

あったとまでは確定できない事案であり,

殺害について事前に計画し,又は当初から

殺害の決意をもって犯行に臨んだ事案とは区別せざるを得ない。

 

早い段階から被害者の死亡を意欲して殺害を計画し,

これに沿って準備を整えて実行した場合には,

生命侵害の危険性がより高いとともに生命軽視の度合いがより大きく,

行為に対する非難が高まるといえるのに対し,

かかる計画性があったといえなければ,

これらの観点からの非難が一定程度弱まるといわざるを得ないからである。

 

本件については,かかる計画性があったとはいえず,また,

前科に関する情状を除くその他の要素を総合的に評価した場合,

死刑を選択するのがやむを得ない事案であるとは言い難いところである。

 

第1審判決は,その他特に重視すべき事情として,

「2人の生命を奪った殺人の罪等で

懲役20年に処された前科がありながら,

金品を強奪する目的で被害者の生命を奪ったこと」

を挙げているところ,これは,

被告人に殺人罪等による相当長期の

有期懲役の前科があることの指摘にほかならない。

 

しかしながら,人を殺害した罪で

有期懲役に処された前科を有する者が,

その刑を受け終わった後に1名を殺害する強盗殺人に及んだ事案については,

死刑が選択された事案と,無期懲役が選択された事案が

存在することからもうかがわれるとおり,

有期懲役の前科があってその服役後に再度の犯行に及んだ場合の,

再度の犯行に対する非難の程度については,

前科と再度の犯行との関連,再度の犯行に至った経緯等を

具体的に考察して,個別に判断せざるを得ないものというべきである。

 

これを本件についてみると,本件強盗殺人という

自己の利欲目的の犯行である点や犯行の経緯と,

第1審判決が重視する前科の内容,すなわち,

口論の上妻を殺害し,子の将来を悲観して道連れに

無理心中しようとした犯行とは関連が薄い上,

被告人は,刑の執行を受け終わり,

更生の意欲をもって就職するも前科の存在が影響して

職を維持できず,自暴自棄となった末に

本件強盗殺人に及んだとみる余地があるのであって,

本件強盗殺人の量刑に当たり,前記のような

前科の存在を過度に重視するのは相当ではない。

 

以上のとおり,前科を除く諸般の情状からすると

死刑の選択がやむを得ないとはいえない本件において,

被告人に殺人罪等による相当長期の有期懲役の前科があることを

過度に重視して死刑を言い渡した第1審判決は,

死刑の選択をやむを得ないと認めた判断の

具体的,説得的な根拠を示したものとは言い難い

 

第1審判決を破棄して無期懲役に処した原判決は,

第1審判決の前記判断が合理的ではなく,本件では,

被告人を死刑に処すべき具体的,説得的な根拠を見いだし難いと

判断したものと解されるのであって,その結論は

当審も是認することができる。したがって,

原判決の刑の量定が甚だしく不当であり,

これを破棄しなければ著しく正義に反するということはできない

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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