国家賠償法1条1項の適用

(平成28年4月12日最高裁)

事件番号  平成26(受)754

 

この裁判は、

拘置所長が死刑確定者から発信を申請された信書を返戻した行為が

国家賠償法1条1項の適用上違法であるとは

いえないとされた事例です。

 

最高裁判所の見解

刑事収容施設法139条2項は,同条1項各号に掲げる信書以外の

信書の発受について,その発受の相手方との交友関係の維持

その他その発受を必要とする事情があり,かつ,

その発受により刑事施設の規律及び秩序を

害するおそれがないと認めるときは,

刑事施設の長は,死刑確定者に対し,

これを許すことができる旨を定めている。

 

原審は,本件各信書の2枚目以降の部分が

被上告人と支援者ら4名との間の良好な

交友関係を維持するためのものであるとするが,

同条2項の文言に照らせば,同項にいう交友関係の維持については

当該信書の発受の相手方との関係で検討されるべきものであり,

専ら支援者ら4名に対する連絡事項等が記載された上記の部分が

本件各信書の発信の相手方である a 弁護士との

交友関係の維持に関わるものでないことは明らかである。

 

また,前記のような本件各信書の内容,

体裁等に照らせば,被上告人が,

上記の部分を支援者ら4名各自宛ての信書として

個別に発信を申請せず,本件各信書の全部を

a 弁護士宛ての信書として発信しようとしたことに

拘置所の規律及び秩序の維持の観点から

問題があったことは否定し難く,

本件各信書の発信を許可した場合には拘置所の規律及び

秩序を害するおそれがあるとした大阪拘置所長の判断に

不合理な点があったということはできない。

 

したがって,大阪拘置所長が,同項の規定により

発信を許すことができないものとして,

被上告人に対し本件各信書を返戻した行為は,

国家賠償法1条1項の適用上違法であるとはいえない。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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