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【判例】再審請求棄却決定に対する即時抗告の決定に対する特別抗告事件(平成29年3月31日最高裁)

再審請求棄却決定に対する即時抗告の決定に対する特別抗告事件

(平成29年3月31日最高裁)

事件番号  平成28(し)639

 

この裁判は、

陳述書等の新証拠が無罪を言い渡すべき明らかな証拠に当たるとして

再審開始の決定をした原審の手続に

審理不尽の違法があるとされた事例です。

 

最高裁判所の見解

本件陳述書の内容は,全般的に相当に具体的なものであり,

それ自体容易に排斥できるようなものではない上,

Aが実際に請求人と離婚したことや,

第三者の陳述書等によって裏付けられている。

 

Aが請求人に対し虚偽の被害申告によって損害を与えたことについての

和解金として100万円を支払う旨の調停を成立させていることも,

本件の被害申告が虚偽でなければ説明が付かない行動といえる。

 

請求人がAに対し本件陳述書を作成するよう

強要したことをうかがわせるような事情も見当たらない。

 

本件陳述書の信用性は相当に高いものがあると考えられ,

このような新証拠を基にすると,

Aの従前の供述や請求人の捜査官に対する自白は,

信用するに足りるものとはいえない。

 

そうすると,本件陳述書等の新証拠は,

本件について請求人に対し無罪を言い渡すべき新規かつ

明白な証拠に当たるものと評価でき,本件再審請求は,理由がある。

 

2(1) しかしながら,本件確定裁判に際しては,

Aの司法警察員に対する供述調書のほか,医師の診断書,

請求人(当時は被告人)の司法警察員及び検察官に対する

各自白調書等,本件確定裁判に係る犯罪事実を認定するのに

十分な証拠書類が提出されていた。

 

また,検察官は,原々審に対し,

本件再審請求に関する意見書の添付資料として,請求人が,

捜査機関から取調べを受けるより前である

平成24年5月25日にAの実家を訪ね,

Aの父親に対し,「1回ドツイて暴力を振るってしま」ったことを認めて

謝罪する内容の手紙を手渡したことなどを

内容とする捜査報告書等を提出していた。

 

同捜査報告書は,Aの司法警察員に対する供述調書や

請求人の司法警察員及び検察官に対する各自白調書の信用性を

補強するものということができる。

 

(2) これに対し,本件陳述書におけるAの陳述内容は,

「私が彼(請求人)に詰め寄ったときに,

彼が手を私の方に差し出し,その手が

私の鼻の右側あたりに触れたように思います。

 

私は急に手が出てきたことに驚いてのけぞったのですが,

そのとき長いスカートをはいていたこともあり,

足がからまって後ろへ倒れ込んで尻もちをついてしまいました。」

「尻もちをついたこと自体がショックで私の中で,

もう離婚するしかない,という思いが強まり,

この翌日,私は子供を連れて室蘭の実家へ帰りました。」

などというものであって,

「Aが請求人との離婚を有利に進めるために事件をねつ造した」

とする請求人の主張とは必ずしも整合していない。

 

また,Aは,上記のとおり陳述する一方で,

「去年(平成27年)の9月に調停で数年ぶりに

彼(請求人)と顔を合わせ,当時の話になったときに,

暴行や傷害が嘘であったことを認め素直にお詫びしました。

 

また私は,自分の嘘が原因で彼に迷惑をかけ前科まで

負わせてしまったことへのお詫びとして

100万円を支払うことを約束しました。」と陳述し,

それに沿う内容の調停が成立していることが認められるものの,

両者間では平成27年9月当時まで

子の養育費をめぐって争いが続いていたことを踏まえると,

いかにも唐突で不自然な感を免れないところがある。

 

さらに,本件陳述書中には,

「医師からは最初,何も異常がないので

診断書に書くことが無いというようなことを言われました。

ですが私は,この時,どうしても

診断書が欲しいと思っていましたので

医師に離婚のために使いたいということを伝えて,

何とかして診断書を書いてくれるよう頼んだところ,

結局裁判でも使われた診断書を作ってもらうことができました。」

とする点など,裏付けのないままでは

たやすく信用し難い内容が含まれている。

 

3 それにもかかわらず,Aの証人尋問や

請求人の本人尋問等を行わないまま,

本件陳述書の信用性は相当に高いなどと評価し,

本件陳述書等の新証拠を基にすると,

Aの従前の供述や請求人の捜査官に対する自白は

信用するに足りるものとはいえないと断定して,

新証拠が請求人に対し無罪を言い渡すべき明らかな

証拠に当たると判断した原審の手続には,新証拠の信用性,

とりわけ本件陳述書の作成経緯・過程の吟味を怠った点において,

審理不尽の違法があるといわざるを得ない。

 

本件確定裁判において認定された犯罪事実に係る

上記2(1)の証拠関係に鑑みれば,

その違法が決定に影響を及ぼすことは明らかであり,

原決定を取り消さなければ著しく正義に反するというべきである。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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