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【判例】固定資産税の納税義務者(平成27年7月17日最高裁)

固定資産税の納税義務者

(平成27年7月17日最高裁)

事件番号  平成26(行ヒ)190

 

この裁判は、

登記簿の表題部の所有者欄に「大字西」などと記載されている土地につき,

地方税法343条2項後段の類推適用により,

当該土地の所在する地区の住民により組織されている自治会又は

町会が固定資産税の納税義務者に当たるとした

原審の判断に違法があるとされた事例です。

 

最高裁判所の見解

(1) 憲法は,国民は法律の定めるところにより

納税の義務を負うことを定め(30条),

新たに租税を課し又は現行の租税を変更するには,

法律又は法律の定める条件によることを必要としており(84条),

それゆえ,課税要件及び租税の賦課徴収の手続は,

法律で明確に定めることが必要である

(最高裁昭和55年(行ツ)第15号同60年3月27日

大法廷判決・民集39巻2号247頁参照)。

 

そして,このような租税法律主義の原則に照らすと,

租税法規はみだりに規定の文言を離れて

解釈すべきものではないというべきであり(最高裁昭和43年(行ツ)

第90号同48年11月16日第二小法廷判決・

民集27巻10号1333頁,最高裁平成19年(行ヒ)第105号

同22年3月2日第三小法廷判決・民集64巻2号420頁参照),

このことは,地方税法343条の規定の下における

固定資産税の納税義務者の確定においても同様であり,

一部の土地についてその納税義務者を特定し得ない

特殊な事情があるためにその賦課徴収をすることができない場合が

生じ得るとしても変わるものではない。

 

(2) ある土地につき地方税法343条2項後段により

固定資産税の納税義務者に該当するというためには,

少なくとも,固定資産税の賦課期日において当該者が

同項後段にいう「当該土地…を現に所有している者」であること,

すなわち,上記賦課期日において当該土地の所有権が

当該者に現に帰属していたことが必要である。

 

そして,上記(1)において説示したところに照らせば,

ある土地につき,固定資産税の賦課期日において

その所有権が当該者に現に帰属していたことを確定することなく,

同項後段に基づいて当該者を固定資産税の

納税義務者とすることはできないものというべきである。

 

しかるに,原審は,本件各土地につき,

本件固定資産税等の賦課期日における

その所有権の帰属を確定することなく,

前記2(2)イの要綱等における取扱い等に照らして

関係自治会等をその実質的な所有者と

評価することができるなどとして,

地方税法343条2項後段の規定を類推適用することにより,

関係自治会等が本件固定資産税等の

納税義務者に該当する旨の判断をしたものであり,

このような原審の判断には,

同項後段の解釈適用を誤った違法があるというべきである。

 

なお,原審は,前記2(2)イのとおり,

堺市の定める要綱等において

台帳登録財産の管理及び処分の決定につき

当該地区の自治会等の総会の決議に基づくことが

基本とされていること等をもって,

台帳登録財産である本件各土地につき,

関係自治会等が堺市により上記の要綱等に従って

その管理処分権限を有する団体として取り扱われているなどとして,

その実質的な所有者と評価することができる旨をいうが,

原審の摘示する上記の事情によっても,

本件固定資産税等の賦課期日において

その所有権が関係自治会等に現に

帰属していたことを基礎付けることはできない。

 

(3) 以上と異なる見解に立って,

地方税法343条2項後段の類推適用により

関係自治会等が本件固定資産税等の納税義務者に当たるとした

原審の判断には,判決に影響を

及ぼすことが明らかな法令の違反があり,

論旨はこの趣旨をいうものとして理由がある。

 

以上によれば,原判決中上告人敗訴部分は破棄を免れない。

 

そして,本件各土地につき原審において

判断されていない地方税法343条4項の適用の有無等について

更に審理を尽くさせるため,上記部分につき

本件を原審に差し戻すこととする。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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