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【判例】法人税法132条の2にいう「法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」(平成28年2月29日最高裁)

法人税法132条の2にいう「法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」

(平成28年2月29日最高裁)

事件番号  平成27(行ヒ)75

 

この裁判では、

法人税法(平成22年法律第6号による改正前のもの)132条の2にいう

「法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」

の意義及びその該当性の判断方法について

裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

事実関係等によれば,本件の一連の組織再編成に係る行為は,

a社による平成20年11月の本件提案の手順を基礎として,

上告人が,a社からb社の発行済株式全部を

譲り受けて完全子会社とした上で(本件買収),

その約1か月後にb社を法2条12号の8イの適格合併として

吸収合併すること(本件合併)により,

法57条2項に基づき,b社の利益だけでは

容易に償却し得ない約543億円もの未処理欠損金額(本件欠損金額)を

上告人の欠損金額とみなし,これを上告人の損金に算入することにより

その全額を活用することを意図して,同21年3月30日までの

ごく短期間に計画的に実行されたものというべきである。

 

なお,本件提案において,b社の多額の未処理欠損金額を上告人に

引き継ぐことが前提とされていたことは,

b社の発行済株式全部の売却想定価額700億円に,

b社の未処理欠損金額のうち約500億円億円」

が含まれていたことからも明らかである。

 

(2) もっとも,本件合併は,平成21年3月31日までに

行われることが予定されており,

特定資本関係の発生(本件買収)から本件合併までの期間が

5年に満たないため,本件合併により上告人が

法57条2項に基づきb社の本件欠損金額を

引き継ぐためには同条3項の

みなし共同事業要件を満たさなければならず,

さらに,本件合併において施行令112条7項2号の

事業規模要件を満たすことは事実上不可能であったため,

みなし共同事業要件を満たすためには同項5号の特定役員引継要件を

満たさなければならない状況にあった。

 

そして,本件では,fら従来のb社の特定役員については,

本件合併後に上告人の特定役員となる事業上の必要性はないと判断され,

実際にそのような予定もなかったため,

本件合併後にcが上告人の代表取締役社長の地位にとどまってさえいれば

特定役員引継要件が満たされることとなるよう,

本件買収の前にcがb社の取締役副社長に

就任することとされたものということができる。

 

このように,本件副社長就任が,

法人税の負担の軽減を目的として,

特定役員引継要件を満たすことを意図して行われたものであることは,

上記一連の経緯のほか,a社と上告人の各担当者の間で

取り交わされた電子メールの「税務ストラクチャー上の理由」等の

記載(前記第1の3(5))に照らしても明らかというべきである。

 

(3) そして,本件においては,①本件副社長就任は,

本件提案が示された後に,a社の代表取締役社長であるdの依頼を受けて,

上告人のc及びb社のfがこれを了承するという経緯で行われたものであり,

上記依頼の前からb社と上告人において

その事業上の目的や必要性が具体的に協議された形跡はないこと,

②本件提案,本件副社長就任,本件買収等の行為は

平成21年3月31日までに本件合併を

行うという方針の下でごく短期間に行われたものであって,

cがb社の取締役副社長に就任していた期間もわずか3か月程度であり,

本件買収により特定資本関係が発生するまでの期間に限れば

わずか2か月程度にすぎないこと,

③cは,本件副社長就任後,b社の取締役副社長として

一定の業務を行っているものの,その業務の内容は,

おおむね本件合併等に向けた準備や

その後の事業計画に関するものにとどまること,

④cは,b社の取締役副社長となったものの,

代表権のない非常勤の取締役であった上,

具体的な権限を伴う専任の担当業務を有していたわけでもなく,

b社から役員報酬も受領していなかったことなどの事情が存する。

 

これらの事情に鑑みると,cは,b社において,

経営の中枢を継続的かつ実質的に担ってきた者という

施行令112条7項5号の特定役員引継要件において

想定されている特定役員の実質を備えていたということはできず,

本件副社長就任は,本件合併後にcが上告人の

代表取締役社長の地位にとどまってさえいれば

上記要件が満たされることとなるよう企図されたものであって,

実態とは乖離した上記要件の形式を作出する明らかに

不自然なものというべきである。

 

また,本件提案から本件副社長就任に至る経緯(上記①)に照らせば,

b社及び上告人において事前に本件副社長就任の事業上の目的や

必要性が認識されていたとは考え難い上,

cのb社における業務内容(上記③)も

おおむね本件合併等に向けた準備や

その後の事業計画に関するものにとどまり,

cの取締役副社長としての在籍期間や権限等(上記②及び④)にも鑑みると,

本件副社長就任につき,税負担の減少以外に

その合理的な理由といえるような事業目的等があったとはいい難い。

 

4 以上を総合すると,本件副社長就任は,組織再編成を利用して

税負担を減少させることを意図したものであって,

適格合併における未処理欠損金額の

引継ぎを定める法57条2項,

みなし共同事業要件に該当しない適格合併につき同項の例外を定める

同条3項及び特定役員引継要件を定める

施行令112条7項5号の本来の趣旨及び

目的を逸脱する態様でその適用を受けるもの又は

免れるものと認められるというべきである。


そうすると,本件副社長就任は,

組織再編税制に係る上記各規定を租税回避の手段として

濫用することにより法人税の負担を減少させるものとして,

法132条の2にいう「法人税の負担を不当に減少させる

結果となると認められるもの」に当たると解するのが相当である。

 

所論の点に関する原審の判断は,

以上の趣旨をいうものとして是認することができる。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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