補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律32条1項にいう「代理人」

(平成27年12月14日最高裁)

事件番号  平成26(あ)1483

 

この裁判は、

補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律32条1項にいう

「代理人」に当たるとされた事例です。

 

最高裁判所の見解

補助金等適正化法32条1項は,

「法人若しくは人の代理人,使用人その他の従業者が,

その法人又は人の業務に関し,前三条の違反行為をしたときは,

その行為者を罰するほか,当該法人又は人に対し

各本条の罰金刑を科する。」と規定しており,

「代理人」等が事業主の業務に関して所定の違反行為をした場合に,

当該行為者と事業主の双方を処罰する法律上の根拠とされている。

 

また,同条項は,「代理人」等の行為者がした違反行為について,

事業主として行為者の選任,監督その他違反行為を

防止するために必要な注意を尽くさなかった

過失の存在を推定した規定と解される

(最高裁昭和26年(れ)第1452号同32年11月27日大法廷判決・

刑集11巻12号3113頁参照)。

 

このように,行為者のした違反行為について過失が推定され,

事業主が処罰されるのは,事業主と行為者との間に,

事業主が行為者の違反行為を防止できるような統制監督関係があることが

前提とされていると解されるから,

事業主が行為者を現に統制監督しておらず,

統制監督すべき関係にもない場合には,

同条項により事業主の過失を推定して

事業主を処罰するという前提を欠き,

同条項が適用されないこととなる。

 

補助金等適正化法は,

「補助金等の交付の不正な申請及び補助金等の不正な使用の防止

その他補助金等に係る予算の執行並びに補助金等の交付の決定の適正化を

図る」ことを目的とし(同法1条),その目的を実現するため,

補助金等の交付の決定を受けた補助事業者等に対し,

補助事業等の遂行に関する善管注意義務,

各種報告義務等を課すとともに,

一部の義務違反行為に対して罰則を設けるなど,

補助事業者等に対し,重い義務を課している。

 

このような同法の目的及び規定内容をも踏まえると,

前記の統制監督関係の有無については,

事業主から行為者に与えられた権限の性質・内容,

行為者の業務履行状況,事業主の関与状況

その他の事情を総合して判断すべきである。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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