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【憲法判例】国籍法12条は憲法14条1項に違反するか (平成27年3月10日最高裁)

国籍法12条は憲法14条1項に違反するか

(平成27年3月10日最高裁)

事件番号  平成25(行ツ)230

 

この裁判では、

国籍法12条は憲法14条1項に違反するかについて

裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

憲法10条は,「日本国民たる要件は,法律でこれを定める。」と規定し,

これを受けて,国籍法は,日本国籍の得喪に関する要件を規定している。

 

憲法10条の規定は,国籍は国家の構成員としての資格であり,

国籍の得喪に関する要件を定めるに当たっては

それぞれの国の歴史的事情,伝統,政治的,社会的及び

経済的環境等,種々の要因を考慮する必要があることから,

これをどのように定めるかについて,

立法府の裁量判断に委ねる趣旨のものであると解される。

 

そして,憲法14条1項が法の下の平等を定めているのは,

合理的理由のない差別を禁止する趣旨のものであって,

法的取扱いにおける区別が合理的な根拠に基づくものである限り,

同項に違反するものではないから,上記のようにして定められた

日本国籍の取得に関する法律の要件によって生じた区別につき,

そのような区別をすることの立法目的に合理的な根拠があり,かつ,

その区別の具体的内容が上記の立法目的との関連において

不合理なものではなく,立法府の合理的な裁量判断の範囲を

超えるものではないと認められる場合には,当該区別は,

合理的理由のない差別に当たるとはいえず,

憲法14条1項に違反するということは

できないものと解するのが相当である

(最高裁昭和37年(オ)第1472号同39年5月27日大法廷判決・

民集18巻4号676頁,最高裁平成10年(オ)第2190号

同14年11月22日第二小法廷判決・

裁判集民事208号495頁,最高裁平成18年(行ツ)

第135号同20年6月4日大法廷判決・

民集62巻6号1367頁参照)。

 

国籍法12条は,出生により外国の国籍を取得するとともに

同法2条1号又は2号によれば出生時に日本国籍を取得して

重国籍となるべき子のうち国外で出生した者について,

日本で出生した者と異なり,戸籍法104条の定めに従って

出生の届出をすべき父母等により出生の日から3か月以内に

日本国籍を留保する意思表示がその旨の届出によりされなければ

(天災等の事由があれば上記の届出期間は伸張される。),

その出生時から日本国籍を有しないものとすることを定め,

その生来的な取得を認めないという区別を設けることとしたものである。

 

また,国籍法17条1項及び3項は,同法12条により

日本国籍を有しないものとされた者で20歳未満のものについて,

日本に住所を有するときは,法務大臣に届け出ることによって,

その届出時に日本国籍を取得することができることを定めている。

 

日本国籍の生来的な取得につき,国籍法2条1号及び2号は,

子の出生時において日本国籍を有する父又は母との間に

法律上の親子関係があることをもって,

一般的にみて我が国との密接な結び付きがあるものといえるとして,

当該子に国籍を付与しようとするものと解される。

 

しかるところ,国籍法は,上記各号の規律を前提とした上で,

前記のように国外で出生して日本国籍との重国籍となるべき子に関して,

例えば,その生活の基盤が永続的に外国に置かれることになるなど,

必ずしも我が国との密接な結び付きがあるとはいえない場合が

あり得ることを踏まえ,実体を伴わない形骸化した

日本国籍の発生をできる限り防止するとともに,

内国秩序等の観点からの弊害が指摘されている重国籍の発生をできる限り

回避することを目的として,12条において,

日本国籍の生来的な取得の要件等につき,日本で出生して

日本国籍との重国籍となるべき子との間に上記のような区別を

設けることとしたものと解され,このような同条の立法目的には

合理的な根拠があるものということができる。

 

国籍法12条が,上記の立法目的に基づき,

国外で出生して日本国籍との重国籍となるべき子に関して,

日本で出生して日本国籍との重国籍となるべき子との間に

上記のような区別を設けていることについても,

生来的な国籍の取得の有無は子の法的地位の安定の観点からできる限り

子の出生時に確定的に決定されることが望ましいところ,

出生の届出をすべき父母等による国籍留保の意思表示をもって

当該子に係る我が国との密接な結び付きの徴表とみることができる上,

その意思表示は原則として子の出生の日から

3か月の期間内に出生の届出とともにするものとされるなど,

父母等によるその意思表示の方法や期間にも

配慮がされていることに加え,

上記の期間内にその意思表示がされなかった場合でも,

同法17条1項及び3項において,

日本に住所があれば20歳に達するまで法務大臣に対する届出により

日本国籍を取得することができるものとされていることをも併せ考慮すれば,

上記の区別の具体的内容は,前記の立法目的との関連において

不合理なものとはいえず,立法府の合理的な

裁量判断の範囲を超えるものということはできない。

 

したがって,国籍法12条において,

出生により日本国籍との重国籍となるべき子のうち,

国外で出生した者について日本で

出生した者との間に設けられた上記の区別は,

合理的理由のない差別には当たらないというべきである。

 

なお,所論のうち,出生以外の事由による

日本国籍の取得の要件等を定める

他の制度との権衡について論難する点に関しては,

出生による日本国籍の生来的な取得の要件等を定める国籍法12条とは

制度の目的及び趣旨を異にする事柄に係るものであって,

上記の判断を左右するものではない。

 

 以上によれば,国籍法12条は,

憲法14条1項に違反するものではない。

このように解すべきことは,当裁判所大法廷の判例

(前掲最高裁昭和39年5月27日大法廷判決)

の趣旨に徴して明らかというべきである。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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