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【憲法判例】戸籍法49条2項1号と憲法14条1項 (平成25年9月26日最高裁)

戸籍法49条2項1号と憲法14条1項

(平成25年9月26日最高裁)

事件番号  平成24(行ツ)399

 

この裁判では、

戸籍法49条2項1号の規定のうち出生の届出に係る届書に

嫡出子又は嫡出でない子の別を記載すべきものと定める部分と

憲法14条1項について裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

(1) 論旨は,出生の届出に係る届書に嫡出子又は

嫡出でない子の別を記載すべきものと定める本件規定は,

婚外子を不当に差別するものとして

憲法14条1項に違反する旨をいうものである。


(2) 憲法14条1項は,法の下の平等を定めており,

この規定は,不合理な差別的取扱いを禁止する趣旨であると解すべきことは,

当裁判所大法廷判決の示すとおりである

(最高裁昭和37年(オ)第1472号

同39年5月27日大法廷判決・民集18巻4号676頁等)。

 

出生の届出は,子の出生の事実を報告するものであって,

その届出によって身分関係の発生等の

法的効果を生じさせるものではなく,

出生した子が嫡出子又は嫡出でない子のいずれであるか,また,

嫡出でない子である場合にいかなる身分関係上の地位に置かれるかは,

民法の親子関係の規定によって決せられるものである。

 

そして,民法は,婚姻は戸籍法の定めるところにより

届け出ることによってその効力を生ずるものとして

法律婚主義を採り(739条1項),これを前提として,

父母の婚姻関係の有無によって,

法律上の父子関係など子の身分関係について

異なる規律を定めている。

 

すなわち,民法は,嫡出子については,

婚姻中の妻の懐胎の事実から当然に夫との

父子関係が推定されるものとして

嫡出推定の制度(772条)を採用し,

父母の氏を称する(790条1項)などとする一方で,

嫡出でない子については,認知によって父子関係が発生するものとして

認知制度を採用し(779条,787条),

母の氏を称する(790条2項)などとしている。

 

また,戸籍法は,戸籍の編製について一の夫婦及び

これと氏を同じくする子ごとに編製するものとしている(6条)ところ,

原則として,嫡出子については父母の戸籍に入るものとし(18条1項),

嫡出でない子については

母の戸籍に入るものとする(同条2項)などとしている。

 

このように,民法及び戸籍法において

法律上の父子関係等や子に係る戸籍上の取扱いについて定められている規律が

父母の婚姻関係の有無によって異なるのは,

法律婚主義の制度の下における身分関係上の差異及び

これを前提とする戸籍処理上の差異であって,

本件規定は,上記のような身分関係上及び戸籍処理上の差異を踏まえ,

戸籍事務を管掌する市町村長の事務処理の便宜に資するものとして,

出生の届出に係る届書に嫡出子又は嫡出でない子の別を

記載すべきことを定めているにとどまる。

 

そして,届書にこれが記載されない場合,

当該届出に係る子が嫡出子又は嫡出でない子のいずれであっても,

その記載の欠缺により届出が不受理の理由となり得る

瑕疵のあるものとなる一方で,

前記第1の2(2)のとおり届出の受理や職権による

戸籍の記載も可能である。

 

以上に鑑みると,本件規定それ自体によって,

嫡出でない子について嫡出子との間で

子又はその父母の法的地位に

差異がもたらされるものとはいえない

 

また,戸籍法が届書の開示については

戸籍の開示よりも厳格な要件を定めていること

(48条2項,10条,10条の2)に照らせば,

出生の届出に係る届書に嫡出子又は

嫡出でない子の別を記載することにより,

その内容が第三者との関係においてより

容易に知られ得る状態に置かれることとなるものともいえない。

なお,当該届出に係る子が嫡出子又は嫡出でない子の

いずれであるかは市町村長において

戸籍簿の記載との対照等の方法によっても知り得るものであり

(前記第1の2(1)エ②参照),

届書に嫡出子又は嫡出でない子の別を

記載することを届出人に義務付けることが,

市町村長の事務処理上不可欠の要請とまではいえないとしても,

少なくともその事務処理の便宜に資するものであることは否定し難く,

およそ合理性を欠くものということはできない。

 

所論は,本件規定において「嫡出でない子」

という文言が用いられていること自体が婚外子に対する

不合理な差別的取扱いであるともいうが,

民法及び戸籍法において「嫡出でない子」という用語は

法律上の婚姻関係にない男女の間に出生した子を

意味するものとして用いられているものであり,

所論は法令上のかかる用語について

その表現の当否を論ずるに帰するものであって,

採用することができない。

 

以上によれば,本件規定は,嫡出でない子について

嫡出子との関係で不合理な差別的取扱いを定めたものとはいえず,

憲法14条1項に違反するものではない

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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