街頭演説の許可制

(最高裁昭和35年3月3日第1小法廷判決)

 

街頭演説を許可制とした

当時の道路交通取締法令の合憲性が争われた裁判でしたが、

憲法二一条は表現の自由を所論のいうように

無条件に保障したものではなく、

公共の福祉の為め必要あるときは、その時、所、方法等につき

合理的に制限できるものであることは

当裁判所の夙に判例とするところであって、

今これを変更する要を見ない。

 

道路において演説をなし人寄をする場合を許可制とした

道路交通取締法第二六条第一項第四号、第二九条第一号、

同法施行令第六九条第一項および昭和二九年北海道公安委員会規則

第一二号道路交通取締法施行細則第二六条第八号の各規程は、

憲法第二一条に違反しないとしました。

 

本判決は、かつての判例を踏襲して、

表現の自由は一定程度、合理的に制限を受けるものであるとし、

街頭演説の許可制を合憲と判断しましたが、

かつての判例の、「公共の福祉の侵害防止のために、

特定の場所又は方法につき、合理的かつ明確な基準の下に

予め許可を受けさせ、または届出をさせて、

集団示威運動が公共の安全に対し

明らかな差し迫った危険を及ぼすことが予見されるとき

これを許可せずまたは禁止しても違憲ではない」

という判決の趣旨と同様としたものの、

本判決には理由が附されておらず、

「合理的かつ明確な基準」

「明らかな差し迫った危険」に関する

抑制的な条件が特定されていない点に

疑問を呈す学説もあります。

 

なお、本判決がされた同年、道路交通取締法令が廃止され、

現行道路交通法が制定され、規制対象と許可基準の明確化が

一定程度図られました。

 

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