公共施設の管理者が都市計画法32条所定の同意を拒否する行為は、抗告訴訟の対象となる処分に当たるか

(平成7年3月23日最高裁)

事件番号  平成6(行ツ)19

 

この裁判では、

公共施設の管理者が都市計画法32条所定の同意を拒否する行為は、

抗告訴訟の対象となる処分に当たるかについて

裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

都市計画法(以下「法」という。)32条は、

開発行為の許可(以下「開発許可」という )を申請しようとする者は、

あらかじめ、開発行為に関係がある公共施設 の管理者の同意を

得なければならない旨を規定する。

 

そして、法30条2項は、開発許可の申請書に、

右の同意を得たことを証する書面を添付することを要することを

法33条1項は 申請に係る開発行為が

同項各号の定める基準に適合しており 、 

かつ、その申請の手続が法又は法に基づく

命令の規定に違反していないと認めるときは、

開発許可をしなければならないことを規定している。

 

右のような定めは、開発行為が、開発区域内に存する道路、

下水道等の公共施設に影響を与えることはもとより、

開発区域の周辺の公共施設についても、変更、廃止などが

必要となるような影響を与えることが

少なくないことにかんがみ 事前に 、 

開発行為による影響を受ける

これらの公共施設の管理者の同意を得ることを

開発許可申請の要件とすることによって、

開発行為の円滑な施行と公共施設の適正な

管理の実現を図ったものと解される。

 

そして 国若しくは地方公共団体又はその機関 (以下「行政機関等」という )が

公共施設の管理権限を有する場合には、行政機関等が

法32条の同意を求める相手方となり、

行政機関等が右の同意を拒否する行為は 、

公共施設の適正な管理上当該開発行為を行うことは相当でない旨の

公法上の判断を表示する行為ということができる。

 

この同意が得られなければ、公共施設に影響を

与える開発行為を適法に行うことはできないが、

これは、法が前記のような要件を満たす場合に限って

このような開発行為を行うことを認めた結果にほかならないのであって、

右の同意を拒否する行為それ自体は、

開発行為を禁止又は制限する効果をもつものとはいえない。

 

したがって、開発行為を行おうとする者が、

右の同意を得ることができず、

開発行為を行うことができなくなったとしても、

その権利ないし法的地位が侵害されたものとはいえないから、

右の同意を拒否する行為が、国民の権利ないし

法律上の地位に直接影響を及ぼすものであると解することはできない。

 

もとより、このような公法上の判断について、立法政策上、

一定の者に右判断を求める権利を付与し、

これに係る行為を抗告訴訟の対象とすることも可能ではあるが、

その場合には、それに相応する法令の定めが整備されるべきところ、

法及びその関係法令には、法32条の同意に関し、

手続、基準ないし要件、通知等に関する規定が置かれていないのみならず、

法の定める各種処分に対する不服申立て及び

争訟について規定する法50条、51条も、

右の同意やこれを拒否する行為については

何ら規定するところがないのである。

 

そうしてみると、公共施設の管理者である行政機関等が

法32条所定の同意を拒否する行為は、

抗告訴訟の対象となる処分には当たらない

 

 

全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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