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【行政判例】公害規制と国家賠償責任 (平成16年10月15日最高裁)

公害規制と国家賠償責任

(平成16年10月15日最高裁)

事件番号  平成13(オ)1194

 

この裁判では、

公害規制と国家賠償責任について

裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

国又は公共団体の公務員による規制権限の不行使は,

その権限を定めた法令の趣旨,目的や,その権限の性質等に照らし,

具体的事情の下において,

その不行使が許容される限度を逸脱して

著しく合理性を欠くと認められるときは,

その不行使により被害を受けた者との関係において,

国家賠償法1条1項の適用上違法と

なるものと解するのが相当である。

 

昭和34年11月末の時点で,

① 昭和31年5月1日の水俣病の公式発見から起算しても

既に約3年半が経過しており,その間,水俣湾又は

その周辺海域の魚介類を摂取する住民の生命,健康等に対する

深刻かつ重大な被害が生じ得る状況が継続していたのであって,

上告人国は,現に多数の水俣病患者が発生し,

死亡者も相当数に上っていることを認識していたこと,

② 上告人国においては,

水俣病の原因物質がある種の有機水銀化合物であり,

その排出源がDF工場のアセトアルデヒド製造施設であることを高度の

がい然性をもって認識し得る状況にあったこと,

③ 上告人国にとって,DF工場の排水に微量の水銀が

含まれていることについての定量分析をすることは可能であったこと

といった事情を認めることができる。

 

なお,Dが昭和34年12月に整備した前記排水浄化装置が

水銀の除去を目的としたものではなかったことを

容易に知り得たことも,前記認定のとおりである。

 

そうすると,同年11月末の時点において,

水俣湾及びその周辺海域を指定水域に指定すること,

当該指定水域に排出される工場排水から水銀又は

その化合物が検出されないという水質基準を定めること,

アセトアルデヒド製造施設を特定施設に定めることという

上記規制権限を行使するために必要な水質二法所定の手続を

直ちに執ることが可能であり,また,そうすべき状況に

あったものといわなければならない。

 

そして,この手続に要する期間を考慮に入れても,

同年12月末には,

主務大臣として定められるべき通商産業大臣において,

上記規制権限を行使して,Dに対し

F工場のアセトアルデヒド製造施設からの

工場排水についての処理方法の改善,

当該施設の使用の一時停止その他

必要な措置を執ることを命ずることが可能であり,

しかも,水俣病による健康被害の深刻さにかんがみると,

直ちにこの権限を行使すべき

状況にあったと認めるのが相当である。

 

また,この時点で上記規制権限が行使されていれば,

それ以降の水俣病の被害拡大を

防ぐことができたこと,ところが,

実際には,その行使がされなかったために,

被害が拡大する結果となったことも明らかである。

 

本件における以上の諸事情を総合すると,

昭和35年1月以降,水質二法に基づく上記規制権限を行使しなかったことは,

上記規制権限を定めた水質二法の趣旨,目的や,

その権限の性質等に照らし,著しく合理性を欠くものであって,

国家賠償法1条1項の適用上違法というべきである。

 

全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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