国家公務員に対する懲戒処分につき修正裁決があった場合と右処分の帰すう

(昭和62年4月21日最高裁)

事件番号  昭和59(行ツ)68

 

この裁判では、

国家公務員に対する懲戒処分につき

修正裁決があった場合について

裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

国公法は、懲戒処分等同法89条1項所定の

処分に対する不服申立の審査については、

処分権者が職員に一定の処分事由が存在するとして

処分権限を発動したことの適法性及び妥当性の審査と、

当該処分事由に基づき職員に対し

いかなる法律効果を伴う処分を課するかという

処分の種類及び量定の選択、決定に関する適法性及び

妥当性の審査とを分けて考え、

当該処分につき処分権限を発動すべき事由が

存在すると認める場合には、

処分権者の処分権限発動の意思決定そのものについては

これを承認したうえ、処分権者が選択、決定した処分の種類及び

量定の面について、その適法性及び妥当性を判断し、

人事院の裁量により右の点に関する処分権者の意思決定の内容に

変更を加えることができるものとし、

これを処分の「修正」という用語で

表現しているものと解するのが相当である。

 

そうすると、懲戒処分につき人事院の修正裁決があった場合に、

それにより懲戒権者の行つた懲戒処分(以下「原処分」という。)が

一体として取り消されて消滅し、人事院において

新たな内容の懲戒処分をしたものと解するのは相当でなく、

修正裁決は、原処分を行った懲戒権者の

懲戒権の発動に関する意思決定を承認し、

これに基づく原処分の存在を前提としたうえで、

原処分の法律効果の内容を一定の限度のものに

変更する効果を生ぜしめるにすぎないものであり、

これにより、原処分は、当初から修正裁決による修正どおりの

法律効果を伴う懲戒処分として存在していたものと

みなされることになるものと解すべきである。

 

本件懲戒処分は、処分の種類及び量定の面において

停職6月の処分から減給6月間

俸給月額10分の1の処分に軽減されたものの、

被上告人の懲戒権の発動に基づく

懲戒処分としてなお存在するものであるから、

被処分者たる上告人は、

処分事由の不存在等本件懲戒処分の違法を理由として

その取消しを求める訴えの利益を

失わないものといわなければならない

 

全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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