スポンサードリンク

【行政判例】地方自治法242条の2第1項4号所定の損害賠償請求訴訟における訴訟物の価額 (昭和53年3月30日最高裁)

地方自治法242条の2第1項4号所定の損害賠償請求訴訟における訴訟物の価額

(昭和53年3月30日最高裁)

事件番号  昭和51(行ツ)120

 

この裁判では、

地方自治法242条の2第1項4号所定の

損害賠償請求訴訟における訴訟物の価額について

裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

損害補填に関する住民訴訟は、被告に対して

一定額の金銭の支払を請求するものであるから、

費用法4条にいう財産権上の請求に係る訴訟とみるほかはない。

 

したがって、その訴額は、原告が「訴を以て主張する利益」により

これを算定すべきであるが(費用法4条1項、民訴法22条1項)、

問題は、損害補填に関する住民訴訟において

何をもって右の「訴を以て主張する利益」とみるかということである。

 

ところで、地方自治法242条の2の定める住民訴訟は、

普通地方公共団体の執行機関又は

職員による同法242条1項所定の

財務会計上の違法な行為又は怠る事実が究極的には

当該地方公共団体の構成員である

住民全体の利益を害するものであるところから、

これを防止するため、

地方自治の本旨に基づく住民参政の一環として、

住民に対しその予防又は是正を

裁判所に請求する権能を与え、

もって地方財務行政の適正な運営を

確保することを目的としたものであって、

執行機関又は職員の右財務会計上の行為又は

怠る事実の適否ないしその是正の要否について

地方公共団体の判断と住民の判断とが相反し対立する場合に、

住民が自らの手により違法の防止又は

是正をはかることができる点に、

制度の本来の意義がある。すなわち、住民の有する右訴権は、

地方公共団体の構成員である住民全体の利益を保障するために

法律によって特別に認められた参政権の一種であり、

その訴訟の原告は、自己の個人的利益のためや

地方公共団体そのものの利益のためにではなく、

専ら原告を含む住民全体の利益のために、

いわば公益の代表者として地方財務行政の適正化を

主張するものであるということができる。

 

住民訴訟の判決の効力が当事者のみにとどまらず

全住民に及ぶと解されるのも、このためである。

 

もっとも、損害補填に関する住民訴訟は、

地方公共団体の有する損害賠償請求権を住民が

代位行使する形式によるものと定められているが、

この場合でも、実質的にみれば、権利の帰属主体たる

地方公共団体と同じ立場においてではなく、

住民としての固有の立場において、

財務会計上の違法な行為又は怠る事実に係る職員等に対し

損害の補填を要求することが訴訟の中心的目的となっているのであり、

この目的を実現するための手段として、

訴訟技術的配慮から代位請求の

形式によることとしたものであると解される。

 

この点において、右訴訟は民法423条に基づく訴訟等とは

異質のものであるといわなければならない。

 

右のような損害補填に関する住民訴訟の特殊な目的及び

性格にかんがみれば、その訴訟の訴額算定の基礎となる

「訴を以て主張する利益」については、

これを実質的に理解し、

地方公共団体の損害が回復されることによって

その訴の原告を含む住民全体の受けるべき利益が

これにあたるとみるべきである。

 

そして、このような住民全体の受けるべき利益は、

その性質上、勝訴判決によって地方公共団体が

直接受ける利益すなわち請求に係る賠償額と同一ではありえず、

他にその価額を算定する客観的、合理的基準を見出すことも

極めて困難であるから、結局、費用法4条2項に準じて、

その価額は35万円とすることが相当である。

 

また、右訴訟は、前述のように、

住民が法律の特別の規定に基づき

地方公共団体の構成員としての資格において

住民全体の利益のためにこれを追行するものであることからすれば、

複数の住民が共同して出訴した場合でも、

各自の「訴を以て主張する利益」は

同一であると認められるので、

その訴額は、民訴法23条1項により合算すべきではなく、

一括して35万円とすべきものである。

 

全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

行政判例コーナー

行政法の解説コーナー


・試験に役立つ左脳型速読術
サイト内検索
関連記事

スポンサードリンク