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【行政判例】奈良県ため池の保全に関する条例と損失補償(昭和38年6月26日最高裁)

奈良県ため池の保全に関する条例と損失補償

(昭和38年6月26日最高裁)

事件番号  昭和36(あ)2623

 

この裁判では、

奈良県ため池の保全に関する条例と損失補償について

裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

本条例4条各号は、

同条項所定の行為をすることを禁止するものであって、

直接には不作為を命ずる規定であるが、同条2号は、

ため池の堤とうの使用に関し制限を加えているから、

ため池の堤とうを使用する財産上の権利を有する者に対しては、

その使用を殆んど全面的に禁止することとなり、同条項は、

結局右財産上の権利に著しい制限を

加えるものであるといわなければならない。

 

しかし、その制限の内容たるや、立法者が科学的根拠に基づき、

ため池の破損、決かいを招く原因となるものと判断した

ため池の堤とうに竹木若しくは農作物を植え 、 

または建物その他の工作物(ため池の保全上必要な工作物を除く)を

設置する行為を禁止することであり、そして、

このような禁止規定の設けられた所以のものは、

本条例一条にも示されているとおり、

ため池の破損、決かい等による災害を

未然に防止するにあると認められることは、

すでに説示したとおりであって、本条例4条2号の禁止規定は、

堤とうを使用する財産上の権利を有する者であると否とを問わず、

何人に対しても適用される。

 

ただ、ため池の堤とうを使用する財産上の権利を有する者は、

本条例一条の示す目的のため、その財産権の行使を殆んど

全面的に禁止されることになるが、

それは災害を未然に防止するという

社会生活上の已むを得ない必要から

来ることであって、ため池の堤とうを

使用する財産上の権利を有する者は何人も、

公共の福祉のため、当然これを

受忍しなければならない責務を負うというべきである。

 

すなわち、ため池の破損、決かいの原因となる

ため池の堤とうの使用行為は、憲法でも、

民法でも適法な財産権の行使として保障されていないものであって、

憲法、民法の保障する財産権の行使の埒外にあるものというべく、

従つて、これらの行為を条例をもって禁止、処罰しても

憲法および法律に牴触またはこれを逸脱するものとはいえないし、

また右条項に規定するような事項を、

既に規定していると認むべき法令は存在していないのであるから、

これを条例で定めたからといって、

違憲または違法の点は認められない

 

本条例は、災害を防止し公共の福祉を保持するためのものであり、

その4条2号は、ため池の堤とうを使用する財産上の権利の行使を

著しく制限するものではあるが、結局それは、

災害を防止し公共の福祉を保持する上に社会生活上已むを得ないものであり、

そのような制約は、ため池の堤とうを使用し得る財産権を有する者が

当然受忍しなければならない責務というべきものであって、

憲法29条3項の損失補償はこれを必要としないと解するのが相当である。

 

全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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