弁済供託における供託金取戻請求が供託官により却下された場合と訴訟の形式

(昭和45年7月15日最高裁)

事件番号  昭和40(行ツ)100

 

この裁判では、

弁済供託における供託金取戻請求が

供託官により却下された場合と訴訟の形式について

裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

供託事務を取り扱うのは

国家機関である供託官であり(供託法1条、同条ノ2)、

供託官が弁済者から供託物取戻の請求を受けた場合において、

その請求を理由がないと認めるときは、

これを却下しなければならず(供託規則38条)、

右却下処分を不当とする者は監督法務局または

地方法務局の長に審査請求をすることができ、

右の長は、審査請求を理由ありとするときは

供託官に相当の処分を命ずることを要する(供託法1条ノ3ないし6)と

定められており、実定法は、供託官の右行為につき、とくに、

「却下」および「処分」という字句を用い、さらに、

供託官の却下処分に対しては

特別の不服審査手続をもうけているのである。

 

以上のことから考えると、もともと、

弁済供託は、弁済者の申請により供託官が

債権者のために供託物を受け入れ管理するもので、

民法上の寄託契約の性質を有するものであるが、

供託により弁済者は債務を免れることとなるばかりでなく、

金銭債務の弁済供託事務が大量で、しかも、

確実かつ迅速な処理を要する関係上、

法律秩序の維持、安定を期するという公益上の目的から、

法は、国家の後見的役割を果たすため、

国家機関である供託官に供託事務を取り扱わせることとしたうえ、

供託官が弁済者から供託物取戻の請求を受けたときには、

単に、民法上の寄託契約の当事者的地位にとどまらず、

行政機関としての立場から右請求につき理由が

あるかどうかを判断する権限を供託官に

与えたものと解するのが相当である。

 

したがって、右のような実定法が存するかぎりにおいては、

供託官が供託物取戻請求を理由がないと

認めて却下した行為は行政処分であり、

弁済者は右却下行為が権限のある機関によって

取り消されるまでは供託物を

取り戻すことができないものといわなければならず、

供託関係が民法上の寄託関係であるからといって、

供託官の右却下行為が民法上の履行拒絶にすぎないものということは

到底できないのである

 

全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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