林地開発許可の取消訴訟と開発区域の周辺住民の原告適格

(平成13年3月13日最高裁)

事件番号  平成8(行ツ)180

 

この裁判では、

林地開発許可の取消訴訟と

開発区域の周辺住民の原告適格について

裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

土砂の流出又は崩壊,水害等の災害による

直接的な被害を受けることが予想される範囲の地域に居住する者は,

開発許可の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者として,

その取消訴訟における原告適格を

有すると解するのが相当である。

 

森林法10条の2第2項1号及び同項1号の2の規定から,

周辺住民の生命,身体の安全等の保護に加えて

周辺土地の所有権等の財産権までを個々人の個別的利益として

保護すべきものとする趣旨を

含むことを読み取ることは困難である。

 

また,同項2号は,当該開発行為をする森林の現に有する

水源のかん養の機能からみて,当該開発行為により

当該機能に依存する地域における

水の確保に著しい支障を及ぼすおそれがないことを,

同項3号は,当該開発行為をする

森林の現に有する環境の保全の機能からみて,

当該開発行為により当該森林の周辺の地域における環境を

著しく悪化させるおそれがないことを

開発許可の要件としているけれども,

これらの規定は,水の確保や良好な環境の保全という

公益的な見地から開発許可の審査を行うことを

予定しているものと解されるのであって,

周辺住民等の個々人の個別的利益を

保護する趣旨を含むものと解することはできない

 

本件においては,前記1の事実によれば,

被上告人B1,同B2,同B3及び同B4は,

本件開発区域内又はその周辺に所在する土地上に立木を所有し,

同B5は,a川から取水して農業を

営んでいるにすぎないというのであるから,

同被上告人らが本件開発許可の取消しを求める

原告適格を有するということはできず,

他に,同被上告人らが原告適格を有すると解すべき根拠は

記録上も見当たらない

 

全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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