追徴税と罰金の併科

(昭和33年4月30日最高裁)

事件番号  昭和29(オ)236

 

この裁判では、

法人税法第43条の追徴税と罰金とを併科することが、

憲法第39条に違反しないかについて

裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

法人税法(昭和22年法律28号。

昭和25年3月31日法律72号による改正前のもの。

以下単に法という)43条の追徴税は、申告納税の実を挙げるために、

本来の租税に附加して租税の形式により賦課せられるものであって、

これを課することが申告納税を怠ったものに対し

制裁的意義を有することは否定し得ないところであるが、

詐欺その他不正の行為により法人税を免れた場合に、

その違反行為者および法人に科せられる

同法48条一項および51条の罰金とは、

その性質を異にするものと解すべきである。

 

すなわち、法48条1項の逋脱犯に対する刑罰が

「詐欺その他不正の行為により云々」

の文字からも窺われるように、

脱税者の不正行為の反社会性ないし反道義性に着目し、

これに対する制裁として科せられるものであるに反し、

法43条の追徴税は、単に過少申告・不申告による

納税義務違反の事実があれば、

同条所定の已むを得ない事由のない限り、

その違反の法人に対し課せられるものであり、これによって、

過少申告・不申告による納税義務違反の発生を防止し、

以って納税の実を挙げんとする趣旨に出でた

行政上の措置であると解すべきである。

 

法が追徴税を行政機関の行政手続により

租税の形式により課すべきものとしたことは

追徴税を課せらるべき納税義務違反者の行為を犯罪とし、

これに対する刑罰として、

これを課する趣旨でないこと明らかである。

 

追徴税のかような性質にかんがみれば、

憲法39条の規定は刑罰たる罰金と追徴税とを

併科することを禁止する趣旨を含むものでないと解するのが

相当であるから所論違憲の主張は採用し得ない。

 

全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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