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【行政判例】関税定率法21条3項の規定による税関長の通知と抗告訴訟の対象 (昭和59年12月12日最高裁)

関税定率法21条3項の規定による税関長の通知と抗告訴訟の対象

(昭和59年12月12日最高裁)

事件番号  昭和57(行ツ)156

 

この裁判では、

関税定率法21条3項の規定による

税関長の通知と抗告訴訟の対象について

裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

輸入申告にかかる貨物又は

輸入される郵便物中の信書以外の貨物が

輸入禁制品に該当する場合法律上当然に

その輸入が禁止されていることは所論のとおりであるとしても、

通関手続の実際において、当該貨物につき輸入禁止という

法的効果が肯認される前提として、それが輸入禁制品に

該当するとの税関長の認定判断が

先行することは自明の理であって、

そこに一般人の判断作用とは異なる行政権の発動が存するのであり、

輸入禁制品と認められる貨物につき、

税関長がその輸入を許可し得ないことは当然であるとしても、

およそ不許可の処分をなし得ないとするのは、

関係法規の規定の体裁は別として、

理由のないものというほかはない。

 

進んで、当該貨物が輸入禁制品に該当するか否かの認定判断につき、

これを実際的見地からみるのに、

例えばあへんその他の麻薬(一号物件)については、

その物の形状、性質それ自体から輸入禁制品に

該当することが争う余地のないものとして

確定され得るのが通常であるのに対し、

同条一項三号所定の「公安又は風俗を害すべき」

物品に該当するか否かの判断は

それ自体一種の価値判断たるを免れないものであって、

本件で問題とされる「風俗」に限っていっても、

「風俗を害すべき」物品がいかなるものであるかは、

もとより解釈の余地がないほど明白であるとはいえず、

三号物件に該当すると認めるのに

相当の理由があるとする税関長の判断も

必ずしも常に是認され得るものということはできない。

 

通関手続の実際においては、前述のとおり、輸入禁制品のうち、

1、2、4号物件については、これに該当する貨物を没収して廃棄し、

又はその積みもどしを命じ(同条2項)、3号物件については、

これに該当すると認めるのに相当の理由が

ある旨を通知する(同条三項)のであるが、

およそ輸入手続において、貨物の輸入申告に対し

許可が与えられない場合にも、不許可処分がされることはない

(3号物件につき税関長の通知がされた場合にも、

その後改めて不許可処分がされることはない)というのが

確立した実務の取扱いであることは、

被上告人らの自陳するところであって、これによると、

同法21条3項の通知は、当該物件につき輸入が

許されないとする税関長の意見が初めて公にされるもので、

しかも以後不許可処分がされることはなく、

その意味において輸入申告に対する行政庁側の最終的な

拒否の態度を表明するものとみて妨げないものというべきである。

 

輸入申告及び許可の手続のない郵便物の輸入についても、

同項の通知が最終的な拒否の態度の表明に当たることは、

何ら異なるところはない。そして、

現実に同項の通知がされたときは、

郵便物以外の貨物については、輸入申告者において、

当該貨物を適法に保税地域から引き取ることができず

(関税法73条1、2項、109条1項参照)、また、

郵便物については、名あて人において、

郵政官署から配達又は交付を受けることができないことになるのである

(同法76条4項、70条3項参照)。

 

以上説示したところによれば、かかる通関手続の実際において、

前記の税関長の通知は、実質的な拒否処分(不許可処分)として

機能しているものということができ、

右の通知及び異議の申出に対する決定(関税定率法21条5項)は、

抗告訴訟の対象となる行政庁の処分及び

決定に当たると解するのが相当である。

 

全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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