リラックス法学部 憲法判例憲法判例 レセプト情報公開請求事件

 

レセプト情報公開請求事件

(大阪高判平成8年9月27日)

 

Xは生後まもなく死亡した自分の子供の死因が、

担当医の医療ミスにあるとして

当該医師と病院を提訴しました。

 

Xは医療ミスの証拠収集として、

裁判所の証拠保全命令を通じて

カルテを入手しましたが、

記載が不完全で納得のいくものではありませんでした。

 

そこでXは病院から

兵庫県の社会保険診療報酬支払基金に提出され、

国の社会保険事務所に送付された

診療報酬明細書(レセプト)に着目し、

兵庫県知事に対してレセプトの開示請求をしたところ、

非公開処分とされました。

 

Xは異議申立てをしましたが、棄却されたため、

兵庫県知事を被告として

非公開処分の取消しを求めて争いました。

 

 

当時兵庫県には、

個人情報の開示請求を認めた条例はなく、

Xは公文書公開条例に基づく公開請求を行いましたが、

その条例8条1項に、

「個人の思想、宗教、健康状態、

病歴、住所、家族関係、資格、

学歴、職歴、所属団体、

所得、資産等に関する情報」

であって、

「特定の個人が識別され得るもののうち、

通常他人に知られたくないもの」

は公開しなくてもよいという規定があり、

知事はその規定に該当するとして、

非公開処分としました。

 

第一審は、この条例8条1項は本人であっても適用され、

本人開示を求める場合はそれ相応の手続きが必要で、

条例にはなんら規定がないとして

Xの請求を棄却しました。

 

控訴審では、この条例8条1項の規定は、

本人以外の者に公開されることによって、

本人のプライバシーが侵害されるのを防ぐのが

その趣旨であるので、

本人からの請求の公開を拒むのは、

制度の趣旨に無視した形式論として、

第一審を取消し、Xの請求を認容しました。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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