動産の所有権を留保する占有権者に対する土地所有者の明け渡し等の請求

(平成21年3月10日最高裁)

事件番号  平成20(受)422

 

この裁判では、

動産の所有権を留保する占有権者に対する

土地所有者の明け渡し等の請求について

裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

本件立替払契約によれば,被上告人が

本件車両の代金を立替払することによって

取得する本件車両の所有権は,本件立替金債務が完済されるまで

同債務の担保として被上告人に留保されているところ,

被上告人は,Aが本件立替金債務について期限の利益を喪失しない限り,

本件車両を占有,使用する権原を有しないが,

Aが期限の利益を喪失して残債務全額の弁済期が経過したときは,

Aから本件車両の引渡しを受け,これを売却して

その代金を残債務の弁済に充当することができることになる。

 

動産の購入代金を立替払する者が立替金債務が完済されるまで

同債務の担保として当該動産の所有権を留保する場合において,

所有権を留保した者(以下,「留保所有権者」といい,

留保所有権者の有する所有権を「留保所有権」という。)の有する権原が,

期限の利益喪失による残債務全額の弁済期(以下「残債務弁済期」という。)の

到来の前後で上記のように異なるときは,

留保所有権者は,残債務弁済期が到来するまでは,

当該動産が第三者の土地上に存在して

第三者の土地所有権の行使を妨害しているとしても,

特段の事情がない限り,当該動産の撤去義務や

不法行為責任を負うことはないが,

残債務弁済期が経過した後は,

留保所有権が担保権の性質を有するからといって

上記撤去義務や不法行為責任を

免れることはないと解するのが相当である。

 

なぜなら,上記のような留保所有権者が有する留保所有権は,

原則として,残債務弁済期が到来するまでは,

当該動産の交換価値を把握するにとどまるが,

残債務弁済期の経過後は,当該動産を占有し,

処分することができる権能を有するものと解されるからである。

 

もっとも,残債務弁済期の経過後であっても,

留保所有権者は,原則として,当該動産が

第三者の土地所有権の行使を妨害している事実を

知らなければ不法行為責任を問われることはなく,

上記妨害の事実を告げられるなどして

これを知ったときに不法行為責任を負うと解するのが相当である。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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