売買後に規制された土壌汚染と民法570条の瑕疵

(平成22年6月1日最高裁)

事件番号  平成21(受)17

 

この裁判では、

売買後に規制された土壌汚染と民法570条の瑕疵について

裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

売買契約の当事者間において目的物が

どのような品質・性能を有することが

予定されていたかについては,

売買契約締結当時の取引観念をしんしゃくして判断すべきところ,

前記事実関係によれば,本件売買契約締結当時,

取引観念上,ふっ素が土壌に含まれることに起因して

人の健康に係る被害を生ずるおそれがあるとは認識されておらず,

被上告人の担当者もそのような認識を有していなかったのであり,

ふっ素が,それが土壌に含まれることに起因して

人の健康に係る被害を生ずるおそれがあるなどの有害物質として,

法令に基づく規制の対象となったのは,

本件売買契約締結後であったというのである。

 

そして,本件売買契約の当事者間において,

本件土地が備えるべき属性として,その土壌に,

ふっ素が含まれていないことや,

本件売買契約締結当時に有害性が

認識されていたか否かにかかわらず,

人の健康に係る被害を生ずるおそれのある

一切の物質が含まれていないことが,

特に予定されていたとみるべき事情もうかがわれない

 

そうすると,本件売買契約締結当時の取引観念上,

それが土壌に含まれることに起因して

人の健康に係る被害を生ずるおそれがあるとは

認識されていなかったふっ素について,

本件売買契約の当事者間において,

それが人の健康を損なう限度を超えて

本件土地の土壌に含まれていないことが

予定されていたものとみることはできず,

本件土地の土壌に溶出量基準値及び含有量基準値のいずれをも

超えるふっ素が含まれていたとしても,

そのことは,民法570条にいう瑕疵には当たらないというべきである。

 

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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