履行不能の場合の損害賠償額の算定の基準時

(昭和47年4月20日最高裁)

事件番号  昭和44(オ)212

 

この裁判では、

履行不能の場合の損害賠償額の算定の基準時について

裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

およそ、債務者が債務の目的物を不法に

処分したために債務が履行不能となった後、

その目的物の価格が騰貴を続けているという

特別の事情があり、かつ、

債務者が、債務を履行不能とした際、

右のような特別の事情の存在を知っていたかまたは

これを知りえた場合には、債権者は、債務者に対し、

その目的物の騰貴した現在の価格を基準として

算定した損害額の賠償を請求しうるものであることは、

すでに当裁判所の判例とするところである。

 

そして、この理は、本件のごとく、

買主がその目的物を他に転売して利益を得るためではなく

これを自己の使用に供する目的でなした

不動産の売買契約において、

売主がその不動産を不法に処分したために

売主の買主に対する不動産の所有権移転義務が

履行不能となった場合であっても、

妥当するものと解すべきである。

 

けだし、このような場合であっても、

右不動産の買主は、右のような債務不履行がなければ、

騰貴した価格のあるその不動産を現に保有しえたはずであるから、

右履行不能の結果右買主の受ける損害額は、

その不動産の騰貴した現在の価格を基準として

算定するのが相当であるからである。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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