物件変動の対抗要件としての明認方法

(昭和36年5月4日最高裁)

事件番号  昭和32(オ)355

 

この裁判では、

物件変動の対抗要件としての明認方法について

裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

明認方法は、立木に関する法律の適用を受けない

立木の物権変動の公示方法として

是認されているものであるから、

それは、登記に代るものとして第三者が

容易に所有権を認識することができる手段で、

しかも、第三者が利害関係を取得する

当時にもそれだけの効果をもって

存在するものでなければならず、従って、

たとい権利の変動の際一旦明認方法が行われたとしても

問題の生じた当時消失その他の事由で右にいう公示として働きを

なさなくなっているとすれば明認方法ありとして

当該第三者に対抗できないものと

いわなければならない旨の原判決の見解は、

当裁判所もこれを正当として是認する。

 

そして、J木材株式会社が本件山林の買受当初判示のごとき

明認方法を施したが大正14年頃かかる標示は

既に見受けられなかったこと、

同社は昭和10年前後まで本件立木に対する

明認方法につき無関心であり、

結局Gが本件山林の立木を買い受ける昭和8年7月当時右立木につき

J木材株式会社のためその権利取得を公示するに足りる明認方法は

存在していなかつたこと、竝びに、Gは本件山林買受後間もなく

同山林の要所に同人の所有であることを標示する

標杭を立てた外山林中の4、5箇所において立木を削って

同様の標示をし、これらの標示は右山林を

I製紙株式会社が本件土地立木を買い受ける当時も

現存していた旨の原判決の事実認定は、

原判決挙示の証拠関係に照し、すべて、

これを肯認することができる。

 

従つて、Gが、前示共有者から

取得した本件山林の立木の所有権は、

J木材株式会社が先に取得した同立木の所有権に優先するとし、

GからI製紙株式会社を経て取得した

被控訴人B製紙株式会社の所有権を是認した原判決は

正当であって、所論の違法は認められない。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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