白紙委任状および売渡証書などが濫用された場合と民法109条、110条

(昭和45年7月28日最高裁)

事件番号  昭和44(オ)174

 

この裁判では、

白紙委任状および売渡証書などが濫用された場合と

民法109条、110条について

裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

右事実によれば、被上告人は、

本件山林の所有権移転登記手続のため

右各書類をDの代理人Eに交付し、Eは、

これをDに交付したが、Dは、ふたたびEを代理人とし、

同人に右各書類を交付して同人をして上告人両名との間に本件山林と

上告人両名共有の山林の交換に当らせ、Eは、

上告人両名の代理人Fに対し、被上告人から

何ら代理権を授与されていないにもかかわらず、

右各書類を示して被上告人の代理人のごとく装い、

契約の相手方を被上告人と誤信したFとの間に

本件交換契約を締結するに至ったというのであって、

なるほど、右各書類は被上告人からEに、EからDに、

そしてさらに、DからEに順次交付されてはいるが、

Eは、被上告人から右各書類を直接交付され、また、

Dは、Eから右各書類の交付を受けることを予定されていたもので、

いずれも被上告人から信頼を受けた特定他人であって、

たとい右各書類がDからさらにEに交付されても、

右書類の授受は、被上告人にとって特定他人である同人ら間で

前記のような経緯のもとになされたものにすぎないのであるから、

Eにおいて、右各書類をFに示して被上告人の代理人として

本件交換契約を締結した以上、被上告人は、

Fに対しEに本件山林売渡の代理権を与えた旨を

表示したものというべきであって、

上告人側においてEに本件交換契約につき代理権があると信じ、

かく信ずべき正当の事由があるならば、

民法109条、110条によって本件交換契約につき

その責に任ずべきものである。原判決引用の判例の事案は、

本件事案と場合を異にする。

 

そうだとすると、原判決は、右表見代理の規定の解釈を誤った結果、

本件交換契約につきその適用はないとするに至ったものというべく、

右違法は原判決に影響を及ぼすこと明らかであるから、

原判決はこの点において破棄を免れない。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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