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【消費者法判例】大学の入学金、入学金の不返還特約の有効性 (平成18年11月27日最高裁)

大学の入学金、入学金の不返還特約の有効性

(平成18年11月27日最高裁)

事件番号  平成17(受)1158

 

この裁判では、

大学の入学金、入学金の不返還特約の有効性について

裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

入学金は,その額が不相当に高額であるなど

他の性質を有するものと認められる特段の事情のない限り,

学生が当該大学に入学し得る地位を

取得するための対価としての性質を有するものであり,

当該大学が合格した者を学生として受け入れるための

事務手続等に要する費用にも充てられることが

予定されているものというべきである。

 

そして,在学契約等を締結するに当たって

そのような入学金の納付を義務付けていることが

公序良俗に反するということはできない。

 

「入学式を無断欠席した場合には入学を辞退したものとみなす」,

あるいは「入学式を無断欠席した場合には入学を取り消す」

というような記載がある場合には,

学生が入学式を無断で欠席することは,

特段の事情のない限り,

黙示の在学契約解除の意思表示をしたものと

解するのが相当である。

 

不返還特約は,在学契約の解除によって大学が被る可能性のある

授業料等の収入の逸失その他有形,無形の損失や不利益等を回避,

てん補する目的,意義を有するほか,

早期に学力水準の高い学生をもって

適正な数の入学予定者を確保するという

目的に資する側面も有するものというべきであって,

一概にその合理性を否定することはできない

 

そして,このような不返還特約は,長年にわたり

ほとんどの私立大学の在学契約において

設けられてきたものであり,

入学試験受験者は,要項等によって

不返還特約の存在及びその内容を認識,理解した上で,

その自由な意思に基づき,受験する大学を決定し,

更に,合格した大学について学生納付金を納付するかどうか,

学生納付金を納付した大学について入学辞退をするかどうかを,

その利害得失を勘案しながら,

それぞれ決定しているものである。

 

また,不返還特約に係る授業料等及び諸会費等は,

一般に入学年度の最初の学期分ないし1年分のものである。

 

以上によれば,不返還特約は,その目的,意義に照らして,

学生の大学選択に関する自由な意思決定を過度に制約し,

その他学生の著しい不利益において大学が

過大な利益を得ることになるような

著しく合理性を欠くと認められるものでない限り,

公序良俗に反するものとはいえないというべきである

 

 

消費者契約法9条1号の規定により,違約金等条項は,

「当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い

当該事業者に生ずべき平均的な損害」

(以下「平均的な損害」という。)を

超える部分が無効とされるところ,

在学契約の解除に伴い大学に生ずべき平均的な損害は,

一人の学生と大学との在学契約が解除されることによって

当該大学に一般的,客観的に生ずると

認められる損害をいうものと解するのが相当である。

 

そして,上記平均的な損害及びこれを超える部分については,

事実上の推定が働く余地があるとしても,

基本的には,違約金等条項である不返還特約の全部又は

一部が平均的な損害を超えて無効であると主張する学生において

主張立証責任を負うものと解すべきである。

 

国立大学及び公立大学の後期日程入学試験の合格者の発表が

例年3月24日ころまでに行われており,

そのころまでには私立大学の正規合格者の発表もほぼ終了していること,

補欠合格者の発表もほとんどが3月下旬までに

行われているという実情の下においては,

大多数の入学試験の受験者においては,

3月下旬までに進路が決定し,

あるいは進路を決定することが可能な状況にあって,

入学しないこととした大学に係る在学契約については,

3月中に解除の意思表示をし得る状況にあること,

4月1日には大学の入学年度が始まり,在学契約を締結した者は

学生としての身分を取得することからすると,

一般に,4月1日には,学生が特定の大学に入学することが

客観的にも高い蓋然性をもって予測されるものというべきである。

 

そうすると,在学契約の解除の意思表示が

その前日である3月31日までにされた場合には,

原則として,大学に生ずべき平均的な損害は存しないものであって,

不返還特約はすべて無効となり,

在学契約の解除の意思表示が同日よりも後にされた場合には,

原則として,学生が納付した授業料等及び諸会費等は,

それが初年度に納付すべき範囲内のものにとどまる限り,

大学に生ずべき平均的な損害を超えず,

不返還特約はすべて有効となるというべきである。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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