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【消費者法判例】紛失したスマホで電子マネーを不正使用された場合 (東京高裁平成29年1月18日)

紛失したスマホで電子マネーを不正使用された場合

(東京高裁平成29年1月18日)

 

携帯電話(スマホ)に電子マネーをチャージできるサービスを利用し

Y1(クレジットカード会社)発行の

クレジットカードを利用して

Y2(電子マネーサービス提供業者)の

電子マネーを購入していた消費者Xが、

その携帯電話を紛失し、

携帯電話会社と警察に届け出をしたものの、

電子マネーサービス提供業者Y2には届け出をしなかったため、

紛失の届け出と携帯電話の使用停止手続後に

何者かに151回にわたり合計291万9000円も

電子マネーを不正利用されました。

 

紛失後、最初の利用明細の発行までに

3回にわたり計4万円の電子マネーが

チャージされた旨の記載がありましたが、

Xはこれを不正利用のものと気づかず、

翌月の利用明細の大部分が不正利用によるもので、

これを見てから不正利用に気づいたXは、

Y2に連絡して電子マネーサービスの利用停止措置をとりました。

 

Y1から前記電子マネーの購入に係る

クレジットカード利用代金の請求を受けたXは、

Y1に対し、前記不正使用に係る代金を

請求しないよう申し入れましたが、

Y1がこれを拒絶したため、Xは、

いわゆるブラックリストに登載されることを回避するために、

Y1に前記不正使用に係る

代金291万9000円の請求額を振り込みました。

 

Xは、Y1・Y2が291万9000円について

不当利得している旨主張し、

不当利得返還請求権に基づき、Yら各自に対して、

291万円と遅延損害金の支払いを求め、また、予備的に、

Yらには前記電子マネーの不正購入について

それぞれ注意義務違反がある旨主張し、共同不法行為に基づき、

Yらに対して、連帯して上記291万9000円に

弁護士費用相当額29万1000円を加えた

321万円と遅延損害金の支払いを求めました。

 

原審でXの請求が認められなかったため、

Xが控訴しました。

 

高等裁判所の見解

高等裁判所は、

クレジットカード会社(Y1)に対する請求は棄却し、

電子マネーサービス提供業者(Y2)に注意義務の違反があるとして

約225万円と遅延損害金の支払いを命じました。

(Xの過失を認め、3割の過失相殺をしています。

Xの過失としては、

まず、事の発端のスマホを紛失した点と、

利用明細が送付された際に直ちに確認して

不正使用に気づきY2への手続きをしていれば

被害の拡大は防止できたことなどです。)

 

Y2が、消費者に対して、

携帯電話会社に紛失届と使用停止の手続きをしただけでは

電子マネーの不正使用を停止できないこと、

Y2にも同様の届け出が必要であることを

まったく告知していなかった点に過失があるものとして

不法行為による損害賠償を命じました。

 

Y2に注意義務の違反を認めた理由として、

「携帯電話の通信サービスの利用を停止すれば、

少なくとも新たにチャージされることはないと

考える者が現れ得ることは、

特に想定困難であるとはいえない事情に加え、

本件サービスの技術的専門性をも考慮すれば、

本件サービスを提供するY2においては、

登録携帯電話の紛失等が生じた場合に、

本件サービスの不正利用を防止するため、

登録会員がとるべき措置について適切に約款等で規定し、

これを周知する注意義務があると認めるのが相当である。」

としました。

 

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