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【消費者法判例】鍼灸学校に対する学納金の返還請求と不返還特約の効力 (平成18年12月22日最高裁)

鍼灸学校に対する学納金の返還請求と不返還特約の効力

(平成18年12月22日最高裁)

事件番号  平成17(受)1762

 

この裁判では、

鍼灸学校に対する学納金の返還請求と

不返還特約の効力について

裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

本件学生納付金等のうち,本件入学金は,

被上告人学校に入学し得る地位及び

入学準備行為の対価としての性質を有する。

 

したがって,本件在学契約が成立したことにより,

上告人は,被上告人学校から被上告人学校に

入学し得る地位の付与を受けるとともに,

被上告人学校も,上告人によって

本件在学契約が解除されるまでの間に,

上告人を受け入れるための具体的な

準備活動を行っていたものであるから,

上告人は,被上告人学校から,

本件入学金と対価関係にある利益を既に得ている。

 

したがって,上告人は,被上告人学校に対し,

本件入学金の返還を求めることはできない

 

本件学生納付金等のうち,本件授業料等は,

被上告人学校の学生が被上告人学校から

受けるべき教育役務等の対価である。

 

上告人は,被上告人学校への入学を辞退したため,

本件授業料等に対応する教育役務等の提供を受けていないから,

本件不返還特約が有効と認められない限り,

被上告人学校は,上告人に対し,

本件授業料等の返還義務を負う

 

本件在学契約は,消費者契約に当たり,

本件不返還特約(本件授業料等に関する部分。以下同じ。)は,

在学契約の解除に伴う損害賠償額の予定又は

違約金の定めの性質を有し,消費者契約法9条1号にいう

「当該消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し,

又は違約金を定める条項」に当たり,同号にいう

「当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い

当該事業者に生ずべき平均的な損害」

(以下「平均的な損害」という。)及び

これを超える部分については,基本的には,

本件不返還特約の全部又は一部が平均的な損害を超えて

無効であると主張する上告人において

主張立証責任を負うものと解される。

 

大学の場合は,大学と在学契約を締結した学生による

当該在学契約の解除に伴い当該大学に生ずべき平均的な損害は,

学生が当該大学に入学することが客観的にも

高い蓋然性をもって予測される時点よりも

前の時期における解除については,

原則として存しないものというべきところ,

現在の大学の入学試験の実情の下においては,

原則として,学生が当該大学に入学することが

客観的にも高い蓋然性をもって予測される時点は,

入学年度が始まる4月1日であるから,

その前日の3月31日までの解除については,

当該大学に生ずべき平均的な損害は存しないのであって,

学生が当該大学に納付した授業料等及び

諸会費等に係る不返還特約はすべて無効というべきである。

 

鍼灸学校等の入学資格を有する者は,

原則として大学に入学することができる者であり,

一般に鍼灸学校等の入学試験を受験する者において,

他の鍼灸学校等や大学,専修学校を併願受験することが

想定されていないとはいえず,

鍼灸学校等の入学試験に関する実情が,

大学のそれと格段に異なるというべき事情までは見いだし難い。

 

また,鍼灸学校等が,大学の場合と比較して,

より早期に入学者を確定しなければならない

特段の事情があることもうかがわれない。

 

そして,被上告人学校においても,前記のとおり,

入学試験に合格しても入学しない者があることを見込んで,

補欠者を定めている上,定員割れが生ずることを回避するため,

入学定員を若干上回る数の合格者を決定している。

 

これらの事情に照らすと,

当時被上告人学校の周辺地域に鍼灸学校等が少なかったことや,

これまで被上告人学校において入学手続後に

入学辞退をした者がいなかったことなどを考慮しても,

大学の場合と同じく,入学すべき年の3月31日までは,

被上告人学校と在学契約を締結した学生が

被上告人学校に入学することが客観的にも

高い蓋然性をもって予測されるような状況にはなく,

同日までの在学契約の解除について被上告人学校に

生ずべき平均的な損害は存しないものというべきである。

前記第1の1(5)の事情も,上記の判断を左右するものではない。

 

そうすると,本件在学契約は,

平成14年3月27日までに解除されたものであるから,

この解除について被上告人学校に生ずべき

平均的な損害は存しないのであって,

本件不返還特約は全部無効というべきであり,

被上告人学校は,上告人に対し,

本件授業料等110万円を返還する義務を負う。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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