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【経済法判例】機械保険連盟料率カルテル事件 (平成17年9月13日最高裁)の要点をわかりやすく解説

機械保険連盟料率カルテル事件

(平成17年9月13日最高裁)

事件番号  平成14(行ヒ)72

 

この裁判では、

私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する

法律7条の2第1項所定の「売上額」の意義、

損害保険業の事業者団体の構成事業者につき

私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律8条の3において

準用する同法7条の2第1項所定の「売上額」について

裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

独禁法の定める課徴金の制度は,

昭和52年法律第63号による独禁法改正において,

カルテルの摘発に伴う不利益を増大させて

その経済的誘因を小さくし,

カルテルの予防効果を強化することを目的として,

既存の刑事罰の定め(独禁法89条)やカルテルによる

損害を回復するための損害賠償制度(独禁法25条)に加えて

設けられたものであり,カルテル禁止の実効性確保のための

行政上の措置として機動的に発動できるようにしたものである。

 

また,課徴金の額の算定方式は,

実行期間のカルテル対象商品又は役務の売上額に

一定率を乗ずる方式を採っているが,これは,

課徴金制度が行政上の措置であるため,

算定基準も明確なものであることが望ましく,また,

制度の積極的かつ効率的な運営により

抑止効果を確保するためには

算定が容易であることが必要であるからであって,

個々の事案ごとに経済的利益を算定することは適切ではないとして,

そのような算定方式が採用され,

維持されているものと解される。

 

そうすると,課徴金の額はカルテルによって

実際に得られた不当な利得の額と

一致しなければならないものではないというべきである。

 

独禁法施行令の定めは,いずれも,

課徴金算定の基礎となる売上額の定め方について,

一般に公正妥当と認められる企業会計原則上の考え方に準拠して,

カルテルの実行期間における対象商品又は

役務の純売上額(総売上額から値引き,

返品及びリベート(割戻し)を控除したもの)を

算定する方法によることとしているのである。

 

また,課徴金の額を定めるに当たって

売上額に乗ずる比率については,

業種ごとに一定率が法定されているが,この一定率については,

課徴金制度に係る独禁法の規定の立法及び改正の過程において,

売上高を分母とし,経常利益ないし

営業利益を分子とする比率を参考にして

定められているところ,企業会計上の概念である売上高は,

個別の取引による実現収益として,

事業者が取引の相手方から契約に基づいて

受け取る対価である代金ないし報酬の合計から

費用項目を差し引く前の数値であり,

課徴金の額を定めるに当たって用いられる上記売上額は,

この売上高と同義のものというべきである。

 

他方,損害保険契約は,当事者の一方が

偶然な一定の事故によって生ずることのあるべき損害を

てん補することを約し相手方がこれにその報酬を与えることを

約することによってその効力を生ずるものであるから(商法629条参照),

損害保険契約に基づいて保険者である損害保険会社が

保険契約者に対して提供する役務は,

偶然な一定の事故によって

生ずることのあるべき損害を

てん補するという保険の引受けである。

 

以上によれば,独禁法7条の2所定の売上額の意義については,

事業者の事業活動から生ずる収益から

費用を差し引く前の数値を意味すると解釈されるべきものであり,

損害保険業においては,保険契約者に対して提供される役務

すなわち損害保険の引受けの対価である営業保険料の合計額が,

独禁法8条の3において準用する

同法7条の2の規定にいう売上額であると解するのが相当である。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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