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弁護士と行政書士の職域に関する裁判(平成27年9月2日広島高裁)

リラックス法学部 士業の職域(行政書士、弁護士、司法書士、税理士などの仕事)>弁護士と行政書士の職域に関する裁判(平成27年9月2日広島高裁)

 

今回は、弁護士と行政書士の職域に関する裁判(平成27年9月2日広島高裁)について

説明したいと思います。

 

法律の専門家と言えば弁護士を連想する方が多いと思いますが、

法律に関係する職務を行うものとして、

行政書士、司法書士、海事代理士、税理士、弁理士、社会保険労務士、

土地家屋調査士など、「隣接法律専門職」と呼ばれる職業があります。

弁護士は法律に関する職務はすべて行うことができ、

その他隣接法律専門職と呼ばれる士業は、

それぞれの限定された範囲で業務を行うことができるということになっています。

 

 

それぞれの士業の行うことのできる業務は、各士業を定めた法律に規定されていますが、

抽象的な表現もありますので、法律の文言の指し示す対象の解釈がわかれ、

争われる場合があります。

例えば、

「弁護士の職務のうち、行政書士もここまでは行うことができる」

という規定の「ここまで」がどこまでかの解釈が別れ、

争われる場合があります。

これについて最終的な判断は裁判所がすることになり、

裁判所の判断が以後の基準となります。

ただし、その基準とは異なる基準が以後採用されることもあります。

ということで、各士業の業際は、不明瞭な部分、グレーな部分、

変化しうる部分があるという前提を

理解していただいた上で、今回の裁判の説明をお読みいただければと思います。

(当サイトのこちらのコーナーで複数回にわけて

士業の職域について詳しく解説しておりますので、

合わせてご覧いただければと思います↓

士業の職域(行政書士、弁護士、司法書士、税理士などの仕事))

 

 

まず、今回の裁判(平成27年9月2日広島高裁)の全体像を説明します。

2007年10月に、行政書士が債務整理(過払金返還請求)の依頼を受けて書類を作成し、

複数の業者との和解交渉で和解金の増額を求めたり、和解書の条項変更に代理人として

記名押印するなどして和解を成立させ、報酬を受け取りましたが、

後に依頼人は、弁護士資格がないのに債務整理をして報酬を受け取ったのは

弁護士法違反(非弁行為)に当たるとして、

報酬の返還を請求する訴訟を提起し、広島地裁は、同法違反を認定し、

行政書士が報酬として受け取った金銭の返還を命じました。(平成27年3月27日判決)

(行政書士は複数業者への過払い金返還請求の依頼を受け、

そのすべてについて提訴されましたが、非弁行為と認定されたのは1件で、

行政書士の行為で非弁行為事実として認定されたのは、

・依頼人から合意金額を具体的に託されて過払金返還請求におもむいた際に、

ひと言「もう少しなんとかなりませんか」と増額要求発言をしたこと

・和解契約書締結時に付帯条項の削除に合意したこと

・代理人の肩書きで記名押印したこと

です。)

 

これに対し、行政書士は控訴審で、

弁護士法、行政書士法の解釈について、

一審のした解釈とは異なる主張をし、

一審が認定した非弁事実の事実認定について争いました。

(つまり、行政書士は、地方裁判所がした

弁護士法、行政書士法の解釈とは異なる解釈を主張して、

その解釈であれば今回の行政書士の行為は、

弁護士法に違反しないという主張を高等裁判所にしました)

 

広島高等裁判所は、

法律構成については、行政書士の主張をほぼ全面的に採用しました。

(つまり、高等裁判所は弁護士法、行政書士法の解釈について、

地方裁判所の解釈ではなく、行政書士の主張する解釈を採用しました)

ただ、その上で、事実認定については主張が認められず、

控訴は棄却されました。(平成27年9月2日)

 

今一度、今回の流れを噛み砕いた言葉で説明しますと、

一審判決(地方裁判所)では行政書士の行為について、

争い(紛争性)が存在すれば直ちに非弁行為と判断しましたが、

控訴審(高等裁判所)では、争い(紛争性)が存在しても

「Aの部分については弁護士の独占業務で、行政書士は行うことができないが、

Bの部分については、行政書士も行うことができる」

という行政書士の主張を採用して、

「たしかにBの部分については行政書士も行うことができるが、

今回の行政書士の行為は、Aの部分にあたるため非弁行為である」

という結論となったということです。

(「Aの部分」「Bの部分」については後ほど具体的に説明します)

 

今回の判決で注目すべきは、この

「Bの部分」について、行政書士も行うことができると高等裁判所が認めた点です。

この主張は、昭和40年代や50年代初頭に地裁では認められたこともあったものの、

高裁では破棄されていたもので、高裁レベルでこの主張が認められたものとしては、

全国でも初めてと思われる画期的な注目すべき判決となりました。

 

というわけで、ここからは今回のポイントとなった

「Aの部分」「Bの部分」についてと、

今回高裁で採用された主張を、法律の規定とその解釈をまじえて

説明していきます。

 

今回のポイントを理解するには、

弁護士法という法律と、行政書士法という法律を読み合わせながら

考えていく必要があります。

 

まず行政書士法の第一条の二では、

次のように規定しています。

 

行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類(中略)

その他権利義務又は事実証明に関する書類(中略)を作成することを業とする。

 

2   行政書士は、前項の書類の作成であつても、

その業務を行うことが他の法律において制限されているものについては、

業務を行うことができない。 

 

以上の書類の作成権限に加えて、第一条の三では、

 

行政書士は、前条に規定する業務のほか、他人の依頼を受け報酬を得て、

次に掲げる事務を業とすることができる。

ただし、他の法律においてその業務を行うことが制限されている事項については、この限りでない。 

 

と定めており、「次に掲げる事務」として列挙されたものには、

 

前条の規定により行政書士が作成することができる契約その他に関する

書類を代理人として作成すること。(3号)

 

前条の規定により行政書士が作成することができる書類の作成について相談に応ずること。 (4号)

 

が含まれており、3号は、行政書士が業務として契約代理を行うことができ、

契約書に代理人として署名し、契約文言の修正等ができることを意味し、

弁護士法72条の規定に抵触しない範囲で契約文言の修正等を行うことを

許容する趣旨と解され、また、4号の「書類の作成について相談に応ずる」とは、

具体的には、依頼者の趣旨に沿って、いかなる種類の書類を作成し、

書類にいかなる事項を記入するか等について、質問に対し答弁し、

支持し又は意見を表明する等の行為を指すものですが、

ただし、書類作成の範囲を超え、弁護士法72条の

「法律事件に関して法律事務を取り扱う」ことはできない旨を示すものと解されます。

 

他方、弁護士法72条では、

 

弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、

異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、

代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、

又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。

ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。 

 

と定めていますが、これは弁護士資格を有さず、何らの規律にも服しない者が、

自己の利益のため、みだりに他人の法律事件に介入することを業とする行為を放置すれば、

当事者その他の関係人らの利益を損ね、法律生活の公正かつ円滑な営みを妨げ、

ひいては、法律秩序を害することになるので、このような行為を

禁圧するために制定されたものです。(最高裁判所昭和46年7月14日判決)

 

そこで、問題になるのが弁護士法72条に書いてある

「その他一般の法律事件」と行政書士法1条ノ3第1項3号に書いてある

「契約その他に関する書類を代理人として作成すること」との関係です。

 

というのも、契約の代理人となることは

「一般の法律事件」に含まれると考えることができるからです。

和解契約などはその典型例でしょう。

また、権利義務書類の作成であっても「その他一般の法律事件」の

範疇であれば行政書士ではなく、弁護士の独占業務になると考えることができます。

この点について、弁護士会などは、

契約の代理人となることなどは争いの有無にかかわらず

「一般の法律事件」に含まれると主張し、

行政書士会は争いがない契約行為などで代理人になることは

「一般の法律事件」に含まれないと主張して、激しい対立となっていました。

そこに今回の広島高裁判決が下されたのです。

 

 この論点について判決は、

「行政書士法1条ノ3第1項2号(現行法では3号)は、

行政書士が、業務として契約代理を行うことができ、(中略)

弁護士法72条の規定に抵触しない範囲で契約文言の修正等を

行うことを許容する趣旨と解される」と、行政書士法の解釈を行い、次ぎに

弁護士法の立法趣旨、さらに同条違反が弁護士法77条3号により、

処罰対象になることも考慮すれば、

弁護士法72条のいう「その他一般の法律事件」とは、

同条において列挙された事件と同視しうる程度に

法律上の権利義務に関し争いや疑義があり、又は、

新たな権利義務関係の発生する案件をいうと解するのが相当

という解釈を高等裁判所が採用し、

その上で、今回の行政書士の行為は、

行政書士法1条の2及び1条の3で認められた範囲を逸脱し、

弁護士法72条の「法律事件に関して法律事務を取り扱うもの」に

抵触するという判断をしました。

 

今回の裁判は、

「Aの部分については弁護士のみが行うことのできる独占業務で、

行政書士は行うことができないが、

Bの部分については、行政書士も行うことができる」

という判断がされた裁判と前述しましたが、

つまり、Aの部分とは、

同条において列挙された事件と同視しうる程度に

法律上の権利義務に関し争いや疑義があり、又は、

新たな権利義務関係の発生する案件」のことで、

簡潔にいうと「訴訟等と同程度にまで紛争が成熟した事件」ということです。

これに該当しない場合、つまり例え争い(紛争)になっている案件でも

訴訟等と同程度にまで紛争が成熟していない状態(「Bの部分」)

であれば、弁護士法に抵触せず、

行政書士が業務として権利義務書類の作成や、

和解契約を始めとする契約代理を合法的に取り扱える

行うことができるという判断がされたものです。

 

実は弁護士と行政書士の職域について、平成26年6月に大阪高裁で、

「行政書士法の権利義務書類は弁護士法3条の法律事務に含まれない」

という判決がされるなど、

これまで紛争が生じている場合の権利義務書類作成業務や契約の代理は、

弁護士の独占業務になるというになるという判決がなされることもあり、

そういった認識が広がっていましたが、

今回の平成27年9月2日広島高裁の判決は、これまでの前例とは異なる

画期的な判決ということになりました。

(今回採用された主張は、弁護士法72条の「法律事件」とは、

同条に列挙された訴訟事件その他の具体的例示に準ずる程度に

法律上の権利義務に関して争いや疑義を有するものをいうとする

事件性必要説の中でも最右翼の紛争性成熟説というものです)

 

 

これにより、当事者間に紛争が生じていても、

「訴訟等と同程度にまで紛争が成熟していない事件」であれば、

行政書士が権利義務書類作成業務を

行うことができるということですが、

では、「訴訟等と同程度にまで紛争が成熟」とは、

どのような状態なのかということが問題となります。

抽象的にいってしまえば、多額の金銭トラブルや事実関係が複雑な場合など、

「社会常識で考えて裁判所に訴えないと解決できない案件」や

「当事者が裁判での決着を明言している案件」ということになると思われます。

具体的には、案件ごとに複数の要素を総合的に考えることになると思われます。

 

今回の高裁ではその線引きについても争われたわけですが、

高裁は、行政書士が本件に関与してから一審認定の非弁行為事実までの

一連の行為全部を1つの行為と評価し、

紛争性の成熟を認定するという判断をしました。

 

その際の判断要素は、

・出資法違反(刑罰法規です)も疑われる案件であったこと

・金融業者が取引の明細を明確に争っていたこと

・金融業者が裁判も辞さないという態度を取っていたこと

・1200万円以上の返還請求に対し500万円で妥協するという経緯をたどっていること

というものでした。つまり、刑罰法規違反か否か、相手方の客観的な態度、

相手方の主観、金額の大小、が判断要素になっているわけです。

その上で「そうすると、本件は債務整理の依頼を受けた当初から

一貫して紛争性の高い案件であって、その紛争性の高さは

弁護士法72条で列挙された事件と匹敵するものであったと認められる」

としています。

 

これに対して行政書士は、高裁判決を不服として上告し、その上告理由のなかで

弁護士法72条が刑罰法規であり、かつ職業選択の自由(営業の自由)の観点からも、

一連の行為を1つの行為として捉えるべきではなく、

1つ1つの行為について弁護士法違反を判断するのが原則だと主張しています。

また、例え訴訟に匹敵する争いがあったとしても、

依頼人の口述を筆記する場合など高度の法的判断を伴わない書類作成や事実行為は

弁護士法の独占業務ではないと一般に考えられていることから、

行政書士はこの点からも、依頼を受けた当初に

紛争性があったことを理由にすることは許されず、

具体的に弁護士法違反となる行為を特定し、

その行為について判断をしなければならないと主張しています。

 

ということで長くなりましたが、今回説明した

平成27年9月2日広島高裁の判決は、

弁護士の独占業務は「訴訟等と同程度にまで紛争が成熟した事件」であり、

例え紛争になっていても

「訴訟等と同程度にまで成熟していない事件」については

行政書士も契約代理等の法律事務を行うことができるという

弁護士と行政書士の職域を考える上で、

画期的な裁判となったというお話でした。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

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