真正不作為犯

真正不作為犯とは、

構成要件的行為が、不作為の形式で

刑法に定められている犯罪を実現する場合です。

つまり「○○しなかった者は罰せられる」

ということです。

 

刑法に定められているものでは、

多衆不解散罪(刑法107条)、不退去罪(130条後段)、

保護責任者不保護罪(218条後段)などがその例です。

 

不真正不作為犯

構成要件的行為が作為の形式で

定められている犯罪を、不作為により実現する場合

不真正不作為犯です。

 

例えば、殺人罪は人を殺した者を処罰する規定ですが、

包丁で人を指すとか、毒を飲ませるといった

作為による殺人を予定した規定ですが、

生まれたばかりの赤ん坊にミルクを与えず

餓死させたような不作為によって実現した場合が

不真正不作為犯です。

 

不真正不作為犯は、

条文上、どのような不作為が処罰の対象となるのかが

不明確ですので、罪刑法定主義の観点から問題となりえます。

また、作為を予定している罰条を

不作為の場合に適用するのは

類推解釈の禁止に触れる危険性もあります。

 

ですので、不真正不作為犯として処罰するには、

慎重な判断が必要となります。

 

不真正不作為犯が成立するための要件は、

さまざまな考え方があります。

 

不作為が義務違反になる「作為義務」があること、

作為を行うことが出来ることの「作為可能性」があること、

不作為が構成要件に実行行為として規定された作為と

法的に同価値のものであることなど

といったことが必要であると考えられています。

 

どんな場合に「作為義務」があるのか

ということについては、さまざまな学説がありますが、

法令、契約、条理の他、先行行為、事実上の引受け、

排他的支配領域性から、

作為義務の発生根拠を認めるという

「多元説」という考え方が通説となっています。

 

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