リラックス法学部 >刑法をわかりやすく解説 >間接正犯とは?判例を交えてわかりやすく解説

 

刑法に規定されている犯罪の類型は原則として、

単独の行為者による既遂を

予定したものとなっています。

 

これを「直接単独正犯」といいますが、

他の人間を利用して行為を行ったものでも、

 「単独正犯」と評価し得るものもあります。

 

つまり、自ら手を下していない者でも、事実上、

その者が犯罪の張本人という場合です。

 

このような場合を間接正犯といいますが、

間接正犯の定義は色々な考え方があります。

 

 

「他人の行為を支配する事により、

構成要件を実現させた場合を間接正犯とする」

という行為支配説が支配的見解となっています。

(「媒介者が自律的自己決定を行っていない時に

背後者を間接正犯とする」

という見解も有力です。)

 

つまり、直接自ら手を下さなくても、

何も知らない第三者を「道具として」利用し、

犯罪を実現した者を「間接正犯」と言います。

 

例えば、ヨネヤマが3才の子供に

コンビニからプリンを盗んでくるように命じて、

子供にプリンを盗んでこさせた場合は、

ヨネヤマが窃盗行為をしたものと評価され

ヨネヤマが窃盗罪の間接正犯となります。

 

「道具として」という部分ですが、

例えばヨネヤマが盗んでこいと命じたのが、

19歳の大学生であれば、間接正犯とはなりません。

大学生は自らの意思を持ち、物を盗んだりするのは、

とってもいけない事だと知っていますので、

「道具として」という事にはなりません。

 

この場合、ヨネヤマには

窃盗教唆罪という罪が成立します。

 

ただし、このような重要な判例があります。

 

親が12才の養女に、

言う事を聞かなければ殴る蹴るの暴力をふるい、

養女の意思を抑圧していた状況で、

親が養女に窃盗を行わせた事件で、

判例は親に窃盗の間接正犯の成立を認めました。

 

間接正犯となった判例  

・暴力や精神的圧迫によって被害者を抑圧し、

自殺させた場合は、

被害者を利用した殺人の間接正犯となります。

 

・精神遅滞者(知的障害者)に、

蘇生する可能性があると誤信させて

自殺させる行為は被害者を利用した

間接正犯となります。

 

・郵便配達人に毒薬を配達させる行為は

殺人の間接正犯となります。

 

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