取締役会の決議が必要な「重要な財産の処分」

(平成6年1月20日最高裁)

事件番号  平成5(オ)595

 

 

最高裁判所の見解

商法260条2項1号にいう重要な財産の処分に該当するかどうかは

当該財産の価額、その会社の総資産に占める割合、

当該財産の保有目的、処分行為の態様及び会社における

従来の取扱い等の事情を総合的に考慮して

判断すべきものと解するのが相当である。

 

これを本件についてみるに、

本件株式の帳簿価額は7,800万円で、

これは上告人の前記総資産47億8,640万円余の

約1・6パーセントに相当し、

本件株式はその適正時価が把握し難く

その代価いかんによっては

上告人の資産及び損益に

著しい影響を与え得るものであり、しかも、

本件株式の譲渡は上告人の営業のため

通常行われる取引に属さないのであるから、

これらの事情からすると、

原判決の挙示する理由をもって、

本件株式の譲渡は同号にいう重要な財産の処分に

当たらないとすることはできない

 

さらに、本件株式はEの発行済み株式の7・56パーセントに当たり、

Eは上告人の発行済み株式の17・86パーセントを有しているのであり、

甲第一一号証によればEは平成2年5月30日に開催された

上告人の株主総会に出席した上取締役選任に関する動議を

提出したことがうかがわれるのであるから、

本件株式の譲渡は上告人とEとの関係に影響を与え、

上告人にとって相当な重要性を有するとみることもできる。

 

また、甲第10号証によれば本件株式譲渡の翌日である

同年1月19日に開催された上告人の取締役会において

本件株式及び上告人の有するG酒造株式会社の

株式400株をHに譲渡することの承認決議がされたことがうかがわれ、

甲第18号証によれば昭和63年6月15日に上告人の取締役会でされた

上告人の有する株式の譲渡承認決議は

株式会社I商店の額面50円の株式4,000株及び

J株式会社の額面50円の株式1万3,500株を

対象とするものであることがうかがわれるのであり、

上告人においてはその保有株式の譲渡については

少額のものでも取締役会がその可否を

決してきたものとみることもできる。

 

全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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