名義書換の失念と株式分割

(平成19年3月8日最高裁)

事件番号  平成17(受)1996

 

この裁判では、

名義書換の失念と株式分割について

裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

受益者が法律上の原因なく代替性のある物を利得し,

その後これを第三者に売却処分した場合,

その返還すべき利益を事実審口頭弁論終結時における

同種・同等・同量の物の価格相当額であると解すると,

その物の価格が売却後に下落したり,無価値になったときには,

受益者は取得した売却代金の全部又は

一部の返還を免れることになるが,

これは公平の見地に照らして相当ではないというべきである。

 

また,逆に同種・同等・同量の物の価格が

売却後に高騰したときには,

受益者は現に保持する利益を超える

返還義務を負担することになるが,

これも公平の見地に照らして相当ではなく,

受けた利益を返還するという不当利得制度の本質に適合しない。

 

そうすると,受益者は,法律上の原因なく利得した

代替性のある物を第三者に売却処分した場合には,

損失者に対し,原則として,売却代金相当額の

金員の不当利得返還義務を負うと解するのが相当である。

大審院昭和18年(オ)第521号同年12月22日判決・

法律新聞4890号3頁は,以上と抵触する限度において,

これを変更すべきである。

 

 以上によれば,

上記原則と異なる解釈をすべき事情のうかがわれない

本件においては,被上告人は,上告人らに対し,

本件新株式の売却代金及び配当金の合計金相当額を

不当利得として返還すべき義務を負うものというべきであって,

これと異なる原審の判断には,

判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。

論旨は理由がある。

 

全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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