約束手形の振出の利益相反行為

(昭和46年10月13日最高裁)

事件番号  昭和42(オ)1464

 

この裁判では、

約束手形の振出の利益相反行為について

裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

およそ、約束手形の振出は、単に売買、消費貸借等の

実質的取引の決済手段としてのみ行なわれるものではなく、

簡易かつ有効な信用授受の手段としても行なわれ、また、

約束手形の振出人は、その手形の振出により、

原因関係におけるとは別個の新たな債務を負担し、しかも、

その債務は、挙証責任の加重、抗弁の切断、

不渡処分の危険等を伴うことにより、

原因関係上の債務よりもいっそう厳格な支払義務であるから、

会社がその取締役に宛てて約束手形を振り出す行為は、

原則として、商法265条にいわゆる取引にあたり、

会社はこれにつき取締役会の承認を受けることを

要するものと解するのが相当である。

 

手形が本来不特定多数人の間を

転々流通する性質を有するものであることにかんがみれば、

取引の安全の見地より、善意の第三者を保護する必要があるから、

会社がその取締役に宛てて約束手形を振り出した場合においては、

会社は、当該取締役に対しては、

取締役会の承認を受けなかったことを理由として、

その手形の振出の無効を主張することができるが、

いったんその手形が第三者に裏書譲渡されたときは、

その第三者に対しては、その手形の振出につき

取締役会の承認を受けなかったことのほか、

当該手形は会社からその取締役に宛てて

振り出されたものであり、かつ、

その振出につき取締役会の承認がなかったことについて

右の第三者が悪意であったことを主張し、立証するのでなければ、

その振出の無効を主張して手形上の責任を免れえないものと

解するのを相当とする。

 

全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

会社法判例をわかりやすく解説コーナートップへ


行政書士試験にわずか147日で合格した勉強法

行政書士受験生にオススメのAmazon Kindle Unlimitedで読める本


スポンサードリンク

関連記事