引換給付判決

(昭和46年11月25日最高裁)

事件番号  昭和41(オ)1005

 

この裁判では、

借家法1条の2に基づく解約を理由とする家屋の明渡訴訟において

当事者の明示の申立額をこえる立退料の支払と引換えに

明渡請求を認容することができるかについて

裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

原審の確定した諸般の事情のもとにおいては、

被上告人が上告人に対して立退料として

300万円もしくはこれと格段の相違のない一定の範囲内で

裁判所の決定する金員を支払う旨の意思を表明し、

かつその支払と引き換えに本件係争店舗の明渡を求めていることをもって、

被上告人の右解約申入につき

正当事由を具備したとする原審の判断は相当である。

 

所論は右金額が過少であるというが、右金員の提供は、

それのみで正当事由の根拠となるものではなく、

他の諸般の事情と綜合考慮され、相互に補充しあって

正当事由の判断の基礎となるものであるから、

解約の申入が金員の提供を伴うことによりはじめて

正当事由を有することになるものと判断される場合であっても、

右金員が、明渡によって借家人の被るべき損失のすべてを

補償するに足りるものでなければならない理由はないし、また、

それがいかにして損失を補償しうるかを

具体的に説示しなければならないものでもない。

 

原審が、右の趣旨において500万円と引き換えに

本件店舗の明渡請求を認容していることは、

原判示に照らして明らかであるから、

この点に関する原審の判断は相当であって、

原判決に所論の違法は存しない。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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