予防接種と国家賠償責任

(平成3年4月19日最高裁)

事件番号  昭和61(オ)1493

 

この裁判では、

予防接種と国家賠償責任について

裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

予防接種によって重篤な後遺障害が発生する原因としては、

被接種者が禁忌者に該当していたこと又は

被接種者が後遺障害を発生しやすい個人的素因を

有していたことが考えられるところ、

禁忌者として掲げられた事由は一般通常人がなり得る

病的状態、比較的多く見られる疾患又は

アレルギー体質等であり、ある個人が禁忌者に該当する可能性は

右の個人的素因を有する可能性よりもはるかに

大きいものというべきであるから、

予防接種によって右後遺障害が発生した場合には、

当該被接種者が禁忌者に該当していたことによって

右後遺障害が発生した高度の蓋然性があると考えられる。

 

したがって、予防接種によって右後遺障害が発生した場合には、

禁忌者を識別するために必要とされる予診が尽くされたが

禁忌者に該当すると認められる事由を発見することができなかったこと、

被接種者が右個人的素因を有していたこと等の

特段の事情が認められない限り、

被接種者は禁忌者に該当していたと推定するのが相当である。

 

したがって、必要な予診を尽くしたかどうか等の点について

審理することなく、本件接種当時の上告人A1が

予防接種に適した状態にあったとして、

接種実施者の過失に関する上告人らの主張を直ちに

排斥した原審の判断には審理不尽の違法があるというべきである。

 

全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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