市町村の施行に係る土地区画整理事業の事業計画の決定と抗告訴訟の対象

(平成20年9月10日最高裁)

事件番号  平成17(行ヒ)397

 

この裁判では、

市町村の施行に係る土地区画整理事業の

事業計画の決定と抗告訴訟の対象について

裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

施行地区内の宅地所有者等は,

事業計画の決定がされることによって,

前記のような規制を伴う土地区画整理事業の手続に従って

換地処分を受けるべき地位に立たされるものということができ,

その意味で,その法的地位に直接的な

影響が生ずるものというべきであり,

事業計画の決定に伴う法的効果が一般的,

抽象的なものにすぎないということはできない

 

もとより,換地処分を受けた宅地所有者等や

その前に仮換地の指定を受けた宅地所有者等は,

当該換地処分等を対象として取消訴訟を提起することができるが,

換地処分等がされた段階では,実際上,

既に工事等も進ちょくし,換地計画も具体的に定められるなどしており,

その時点で事業計画の違法を理由として

当該換地処分等を取り消した場合には,

事業全体に著しい混乱をもたらすことになりかねない。

 

それゆえ,換地処分等の取消訴訟において,

宅地所有者等が事業計画の違法を主張し,

その主張が認められたとしても,当該換地処分等を取り消すことは

公共の福祉に適合しないとして事情判決(行政事件訴訟法31条1項)が

される可能性が相当程度あるのであり,

換地処分等がされた段階でこれを対象として

取消訴訟を提起することができるとしても,

宅地所有者等の被る権利侵害に対する救済が

十分に果たされるとはいい難い。そうすると,

事業計画の適否が争われる場合,

実効的な権利救済を図るためには,

事業計画の決定がされた段階で,これを対象とした

取消訴訟の提起を認めることに合理性があるというべきである。

 

 以上によれば,市町村の施行に係る土地区画整理事業の

事業計画の決定は,施行地区内の

宅地所有者等の法的地位に変動をもたらすものであって,

抗告訴訟の対象とするに足りる法的効果を有するものということができ,

実効的な権利救済を図るという観点から見ても,

これを対象とした抗告訴訟の提起を認めるのが合理的である。

 

したがって,上記事業計画の決定は,

行政事件訴訟法3条2項にいう

「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」

に当たると解するのが相当である。

 

全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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