皇居外苑使用不許可処分の取消を求める訴え

(昭和28年12月23日最高裁)

事件番号  昭和27(オ)1150

 

この裁判では、

皇居外苑使用不許可処分の取消を求める訴えについて

裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

国有財産法によれば、公共福祉用財産は、

国が直接公共の用に供した財産であって、

国民は、その供用された目的に従って

均しくこれを利用しうるものであり、

この点において、公共福祉用財産は、普通財産と異ることは勿論

他の行政財産ともその性質を異にするものである。

 

しかし、公共福祉用財産には多くの種類があり、

それが公共の用に供せられる目的は財産の種類によって異なり、

また、それが公共の用に供せられる態様及び程度も、

財産の規模、施設のいかんによって

異なるもののあることは当然である。

 

従って、上述のごとく公共福祉用財産は、

国民が均しくこれを利用しうるものである点に特色があるけれども、

国民がこれを利用しうるのは、当該公共福祉用財産が

公共の用に供せられる目的に副い、

且つ公共の用に供せられる態様、程度に応じ、

その範囲内においてなしうるのであって、これは、

皇居外苑の利用についても同様である。

 

また国有財産の管理権は、国有財産法5条により、

各省各庁の長に属せしめられており、

公共福祉用財産をいかなる態様及び程度において

国民に利用せしめるかは右管理権の内容であるが、

勿論その利用の許否は、その利用が公共福祉用財産の、

公共の用に供せられる目的に副うものである限り、

管理権者の単なる自由裁量に属するものではなく、

管理権者は、当該公共福祉用財産の種類に応じ、また、

その規模、施設を勘案し、その公共福祉用財産としての使命を

十分達成せしめるよう適正にその管理権を行使すべきであり、

若しその行使を誤り、国民の利用を妨げるにおいては、

違法たるを免れないと解さなければならない。

 

これは、皇居外苑の管理についても同様であって、

その管理権の根拠規定たる国有財産法5条、

厚生省設置法8条17号及び厚生大臣がその管理権に基いて定めた

国民公園管理規則には、皇居外苑を使用せしめることの許否につき

具体的方針は特に定められていないけれども、

国民公園を本来の目的に副うて使用するのでなく

利用する同規則3条のような場合は別として、

国民が同公園に集合しその広場を利用することは、

一応同公園が公共の用に供せられている目的に副う

使用の範囲内のことであり、

唯本件のようにそれが集会又は

示威行進のためにするものである場合に、

同公園の管理上の必要から、

これを厚生大臣の許可にかからしめたものであるから、

その許否は管理権者の単なる

自由裁量に委ねられた趣旨と解すべきでなく、

管理権者たる厚生大臣は、皇居外苑の

公共福祉用財産たる性質に鑑み、また、

皇居外苑の規模と施設とを勘案し、その公園としての使命を

十分達成せしめるよう考慮を払った上、

その許否を決しなければならない。

 

本件不許可処分は、既に述べたとおり、

管理権の適正な運用を誤ったものとは認められないし、また、

管理権に名を藉りて実質上表現の自由又は

団体行動権を制限することを目的としたものとも

認められないのであって、

そうである限り、これによって、たとえ皇居前広場が

本件集会及び示威行進に使用することができなくなったとしても、

本件不許可処分が憲法21条及び28条違反であるということはできない

 

全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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