障害年金の支分権の消滅時効の起算点

(平成29年10月17日最高裁)

事件番号  平成29(行ヒ)44

 

この裁判では、

厚生年金保険法(昭和60年法律第34号による改正前のもの)47条に基づく

障害年金の支分権の消滅時効の起算点について

裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

厚生年金保険法47条に基づく障害年金の支分権

(支払期月ごとに支払うものとされる保険給付の支給を受ける権利)は,

5年間これを行わないときは時効により消滅し

(厚生年金保険の保険給付及び国民年金の給付に係る時効の

特例等に関する法律附則4条,会計法30条),その時効は,

権利を行使することができる時から進行する

(会計法31条2項,民法166条1項)ところ,

上記支分権は,厚生年金保険法36条所定の

支払期の到来により発生するものの,

受給権者は,当該障害年金に係る裁定を受ける前においては

その支給を受けることができない。

 

しかしながら,障害年金を受ける権利の発生要件や

その支給時期,金額等については,

厚生年金保険法に明確な規定が設けられており,裁定は,

受給権者の請求に基づいて上記発生要件の存否等を公権的に

確認するものにすぎないのであって

(最高裁平成3年(行ツ)第212号同7年11月7日

第三小法廷判決・民集49巻9号2829頁参照),

受給権者は,裁定の請求をすることにより,

同法の定めるところに従った内容の裁定を受けて

障害年金の支給を受けられることとなるのであるから,

裁定を受けていないことは,上記支分権の

消滅時効の進行を妨げるものではないというべきである。

したがって,上記支分権の消滅時効は,

当該障害年金に係る裁定を受ける前であっても,

厚生年金保険法36条所定の支払期が到来した時から

進行するものと解するのが相当である。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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