行政処分と民法177条の第三者

(昭和35年3月31日最高裁)

事件番号  昭和32(オ)934

 

登記簿上不動産の所有名義人となっている国税滞納者に対する

滞納処分として右不動産を公売処分に付した国が、

登記の欠缺を主張するにつき

正当の利益を有する第三者にあたるかについて

裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

本件土地の所有権を取得したものの登記面は

依然所有者名義になっていたのでその公租公課の徴税令書が

登記名義人に送達されぬよう特に配慮し、

右徴税令書もその代納人が受取り、

かつ同人において国税地方税(一部)を納入していたこと、

そして右差押登記がなされたのを知るや上告人は

富山税務署又は魚津税務署に対し陳情または正規の手続によって、

本件公売処分の取消方を求めたところ、

被上告人富山税務署長はこれに対し

その決定を前示のように遷引していたこと

本件公売処分がなさるるに至った関係については

前掲に示したような事情が伏在していたこと等の

事実に着目して考察するときは前上告審判決にいう上告人において、

本件土地が所轄税務署長から上告人の所有として

取り扱わるべきことを強く期待することが、

もっともと思われる事情があったものと認めるを相当と考える。

 

被上告人富山税務署長は上告人の本件土地の所有権取得に対し

登記の欠缺を主張するについて

正当の利益を有する第三者に該当しないものと認むべきが故に、

被上告人富山税務署長のなした前示差押並びに

その登記を含む一連の本件公売処分は

滞納者の所有に属しない目的物件を対象としてなされたものとして

競落人たる被上告人B2に目的物件の所有権を

取得せしめる効果を生じないとする意味において無効となり

同被告人のためになされた前示所有権取得登記も抹消されるを

免れないものと言わざるを得ない。

 

全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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