リラックス法学部 憲法判例憲法判例 北方ジャーナル事件(事前抑制の原則禁止の法理)の概要と判決の趣旨をわかりやすく解説

 

憲法判例 北方ジャーナル事件(事前抑制の原則禁止の法理)

(昭和61年6月11日最高裁)

事件番号  昭和56(オ)609

 

約10年間旭川市長を勤め、

北海道知事に立候補しようとしていた

Yさんについて、

X出版社は雑誌「北方ジャーナル」に、

下品な表現でYさんが

知事候補として不適格である

という記事を掲載しようとしましたが、

それを知ったYさんは

裁判所に出版の差し止め等を求める

仮処分の申請をし、認められました。

 

X出版社は

この雑誌の差し止めの仮処分決定は

憲法21条が禁止する検閲及び事前抑制にあたり、

表現の自由を侵害するとして争いました。

 

第二十一条  

集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。

 

まず「検閲」についてですが、

判例は「検閲の主体は行政権である」

という立場に立っています。

 

つまり、裁判所の仮処分による

出版物等の事前差止は、

「検閲」にはあたらないことになります。

 

 

「検閲」にあたらないとしても、

「事前抑制の原則禁止の法理」

に反するのではないかという問題もあります。

 

事前抑制の原則禁止の法理

まず、「事前抑制」とは

表現行為がなされるに先立ち、

公権力がなんらかの方法でそれを抑制、

及び、実質的にそれと同視しうる影響を

表現行為に及ぼすものをいいます。

 

この事前抑制は原則禁止されるというものを、

「事前抑制の原則禁止の法理」といいます。

 

本件で最高裁は、

「事前抑制は原則として許されないが、

表現内容が真実でなく

またそれが

専ら公益を図るものでないことが明らかであって、

かつ被害者が重大にして著しく

回復困難な損害を被るおそれがあるときは、

例外的に事前差止が許される

としました。

 

全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

 

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