期間の定めのない継続的保証契約(根保証)と保証人の解約

(昭和39年12月18日最高裁)

事件番号  昭和38(オ)1173

 

この裁判では、

期間の定めのない継続的保証契約(根保証)と

保証人の解約について

裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

本件のごとき期間の定めのない継続的保証契約は

保証人の主債務者に対する

信頼関係が害されるに至った等保証人として

解約申入れをするにつき相当の理由がある場合においては、

右解約により相手方が信義則上看過しえない損害を

こうむるとかの特段の事情ある場合を除き、

一方的にこれを解約しうるものと解するのを相当とするとし、

挙示の証拠により、被上告人はDの叔父で

これまでも同人のために多額の出金を余儀なくされたことがあるのであるが、

上告人に対し前記保証をなすに際し、

Dは被上告人に対し、自分が上告人との取引再開後同人から

仕入れる小麦粉の代金はその各翌月の五日までに

被上告人方に持参することを約していたのにかかわらず、

これを再三怠り、そのために被上告人自身の出金が

相当の額に達したので、被上告人として前途に

不安を感じ解約の申入れをするに至つた事情を認定判示し、

このような事情のもとでは被上告人として

本件解約の申入れをなすにつき

相当の理由があったというべきであり、

他面上告人側にも前示のような特段の事情はないものとして、

被上告人のなした本件保証契約の解約申入れを

有効と判断したことは、正当として是認できる。

 

次に所論は、大審院判例をあげて、

「期間ならびに金額の定めのない将来発生することあるべき

主債務についての保証契約」においては、

「契約後相当の期間を経過した場合か、

そうでなくても債務者の資産状態が著しく

悪化した場合においてのみ」保証人の一方的意思によって

保証契約を解約することができると解すべき旨主張するが、

本件にあっては保証契約後相当期間経過後の解約申入れであることは

原判文上明らかであり、所論挙示の大審院判例の趣旨は

「債務者の資産状態が急激に悪化したような

保証契約締結の際に予測しえなかつた特別の事情があれば、

相当の期間を経過しなくても解除できる」

ところにあるのであるから、挙示の判例をもって

論旨のごとくに解することは、

右判例の趣旨を独自の見解に牽強附会するものであって採用できない。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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