親子関係不存在確認の訴えの許否

(平成26年7月17日最高裁)

事件番号  平成24(受)1402

 

この裁判では、

 夫と民法772条により嫡出の推定を受ける子との間に

生物学上の父子関係が認められないことが科学的証拠により

明らかであるなどの事情がある場合における

親子関係不存在確認の訴えの許否について

裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

民法772条により嫡出の推定を受ける子につき

その嫡出であることを否認するためには,

夫からの嫡出否認の訴えによるべきものとし,かつ,

同訴えにつき1年の出訴期間を定めたことは,

身分関係の法的安定を保持する上から

合理性を有するものということができる

(最高裁昭和54年(オ)第1331号同55年3月27日

第一小法廷判決・裁判集民事129号353頁,

最高裁平成8年(オ)第380号同12年3月14日

第三小法廷判決・裁判集民事197号375頁参照)。

 

そして,夫と子との間に生物学上の父子関係が

認められないことが科学的証拠により明らかであり,かつ,

夫と妻が既に離婚して別居し,

子が親権者である妻の下で

監護されているという事情があっても,

子の身分関係の法的安定を保持する必要が

当然になくなるものではないから,

上記の事情が存在するからといって,

同条による嫡出の推定が及ばなくなるものとはいえず,

親子関係不存在確認の訴えをもって

当該父子関係の存否を争うことは

できないものと解するのが相当である。

 

このように解すると,

法律上の父子関係が生物学上の父子関係と

一致しない場合が生ずることになるが,

同条及び774条から778条までの規定はこのような

不一致が生ずることをも容認しているものと解される

 

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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